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梨の栽培

【梨の受粉作業の手順】花粉の馴化から授粉作業の注意点を解説

投稿日:2019年4月19日 更新日:

梨の人工授粉作業の準備から現場での作業するときのポイントを解説します。

花粉を馴化させて使えるように準備する

当園は輸入花粉をメインして人工授粉をしています。
理由はいろいろあるのですが、下記のリンクを見て頂くと分かるかと思います。

【梨の人工受粉の注意点】自家不和合性とは?

星野株式会社さんから詳しい手順が記載してある資料を頂戴しました。

①輸入花粉は冷凍で届くので使用する前までは冷凍庫で保管します。
②作業の2日前迄に冷凍庫から冷蔵庫へ移し一晩置く。
③作業の1日前(24時間前)迄に発砲スチロール(またはボックス)に保冷剤と濡れタオルを敷き、
その上に皿(もしくは厚くした新聞紙)を設置して花粉を取り出し吸湿(薬包紙の場合はそのままでも可)させます。
24時間ほどその状態においたら吸湿が完了し花粉が活動できる状態になります。
※この時の環境は室内。冷蔵庫内では無い。
⑤使用する日までの保管方法は、花粉を袋に移し替えてたものをシリカゲルの入った発泡スチロールに入れて冷蔵庫で保管します。

一口メモ

実はメーカーによって馴化の方法はまちまちです。
薬包紙のまま2日間室内においとくだけでも馴化が可能です。
この方法でも発芽率は保たれるようです。

注意ポイント

冷凍状態の花粉はかなりの乾燥状態なので適切な管理のもと吸湿させないと活動状態にならない。
ポイントは発泡スチロールに入れて少し濡らしたタオルで湿度をコントロールする点です。
吸湿完了後、1週間ほどは発芽率が維持されるというが、時間経過と共に発芽率は減少するので早めに使い切る

ただ一番怖いのが輸入花粉は輸送の関係で発芽率が極端に低いものもあるそうです。(5~20%とか)
輸入するときはまとめてコンテナなどで輸入するそうで、
その際に内側と外側で湿度や温度の差が生じるため、外側にある花粉はその時点で吸湿してしまい
手元に届くときにはすでに発芽しきって期限が切れてしまい発芽率が極端に低いとか。。。
花粉にも当たり外れが存在するよ~と小耳にはさみました。

輸入果樹花粉の実用性と短期保存方法の論文では、輸入花粉の発芽率の調査もしていて有用性があると記載されています。

また、こちらの論文「ニホンナシ貯蔵花粉の順化は高湿条件により短時間で完了する(平成26年)」では馴化の作業を短縮化した方法も記載されています。

・高湿順化法は温度20℃かつ湿度90%程度の条件で所定の時間順化
・慣行順化法は温湿度変化の少ない実験室内(気温15℃かつ湿度70%程度)において、
シリカゲル入りの貯蔵容器内で24時間、容器から取り出して室内で24時間順化

作業当日の手順①【天気と気温、時間帯を確認する】

前日に雨が降って翌日止んでいても花が濡れていたら乾くまで待ちましょう。
【ラブタッチ】を使う場合、花が濡れていると先端の羽毛が濡れてしまいうまく受粉ができなくなります
コロンブスなどでしたら大丈夫かと思いますが、乾いてからの方が安心です。

 

受粉作業の時間帯は
午前10時〜午後2時の間に行います。
できれば無風もしくは、風が弱い日にします。

理由は、
•早朝だと低温のため、花粉管が伸びないので受精できない

•夕方になると、風などが吹いたり天候面での悪影響が出てきます。
低温にもなるので、やはり花粉管が伸びにくくなる

花粉管の伸びなどは果樹によって異なりますが、基本の受粉作業の時間帯は、あまり変わりません。

ポイント

・花が乾いている状態の時に行う
・授粉作業は午前10時〜午後2時の間に行う
・できれば無風もしくは風が弱い日にします

詳細は下記のリンクに記載しています。【ラブタッチの使用動画もあります」

【梨の人工授粉】受粉作業に適した時間帯とは?

作業当日の手順②【増量剤の使い方】

冷蔵庫で保管した花粉を30分~1時間ほど室温に移して馴化させます。
馴化させて花粉と石松子(花粉増量剤)を花粉混合器に入れてシャカシャカ振って混ぜます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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花粉と石松子の割合

このときの花粉と石松子の割合は花粉の量に対して4~10倍の量の石松子を混ぜ合わせます。
毎年だいたい4~6倍くらいで使用しています

4倍の量の石松子をいれる場合

花粉10g+石松子40g=花粉混合粉50gとなります。

ここでいっつも判断に迷うのですが、4倍なのか4倍希釈なのかどっちだ??ってなります。
「花粉の量に対して4倍を投入する」は言い換えると【5倍希釈にする】ということです。

この希釈倍率は花粉の発芽率に関係するため、あまり薄くしてしまうと受粉しても花粉の発芽率が60~70%の場合
受粉しても授精しない(結実しない)恐れもあります。

自分たちで採葯した花粉であれば(もちろん発芽率が良かったと確認済みの場合)
5~6倍以上でも問題ないかと思われます。
ただあまりに薄くしてしまうと結実率が悪くなるので4~6倍の範囲が適正かと思われます。

注意ポイント

また、作った花粉混合粉は余って次回使おうとしても発芽率が低下しているため持ち越しはできませので注意しましょう。
増量剤に混ぜていなければ再度、シリカゲルと一緒に冷蔵庫で保管すれば数日は使えます。

作業当日の手順③【受粉可能な花の見分け方】

開花して時間が経過している役目を終えた花に花粉をつけても意味はありません。
見分けやすいように画像をのせて紹介します。

受粉可能な花

雄しべの葯がピンク色かつ柱頭がしっかりしていれば授精能力がある状態の新鮮な花です。
この状態の時に人工授粉の作業を行います。

開花後日数が経過した花

雄しべがすでに枯れていて綺麗なピンク色では無くなっています。
この状態の花はすでに授精が終了した花なので、この花には授粉はしません。

受粉した状態の花

石松子が付着しているので受粉したかどうか判別できます。

長果枝と短果枝の開花時期の違い

短果枝

長果枝

短果枝の方が総じて開花は早くなります。
逆に長果枝の方は開花が遅くなりますので受粉の作業は数回に分けて行う必要があります。

ココがポイント

長果枝と短果枝では開花時期に差が出るので受粉作業を数回にわけて行う

以上で解説は終了になります。
受粉は時間との勝負ですので確実にやっていきたいですね。

 

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