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ブドウの着色するメカニズム【着色不良の原因とその対策】

2016年7月25日

ブドウ 着色 対策

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青木果樹園
ブドウの着色のメカニズムについて解説します! @KazyuenAoki 

ブドウはアントシアニンの蓄積によって着色しますが、

ベレーゾン期における高温により着色しずらくなっています。

ブドウの着色のメカニズムを解説しつつ、その原因と対策を紹介します。

先に結論!

  • 原因はベレーゾン期における気温の上昇(夜の温度の上昇)
  • 光合成でつくった糖とアントシアニンの蓄積によって着色する
  • 対策は光反射シートの設置や環状剥皮+着果量を減らす



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【着色のメカニズム】アントシアニンによって色が決まる

ブドウは下記に分類されます。

  • 黒系ブドウ:巨峰・ピオーネ・藤稔など
  • 赤系ブドウ:クインニーナ・安芸クイーン・竜宝など
  • 青系ブドウ:シャインマスカット・カッタクルガン・瀬戸ジャイアンツなど

色の違いはアントシアニン(色素)の蓄積によるものです。

アントシアニンは色素の1つであり、それが蓄積してブドウに色をつけています。

そして黒、赤、青、それぞれには特徴があり、またその問題もあります。

色別の問題点

  • 黒系:綺麗な黒色になりにくくなってきている。
  • 赤系:黒系に比べて着色はし易いが、綺麗なハッキリとした色になりにくい。
  • 青系:強い日差しによりブドウの果皮に日焼けができる。

遺伝子型によってブドウの着色が決まる

ブドウには上記のような黒・赤・青系があります。

ブドウには着色を誘導するMYBという遺伝子型があり、その持つ遺伝子によって色が決まります。

遺伝子の種類

  • A遺伝子:着色を誘導しない=アントシアニンを蓄積しない
  • E1遺伝子:着色を誘導するが機能が低い=アントシアニンを蓄積するが少ない
  • C-Rs遺伝子:着色を誘導するが機能が低い=アントシアニンを蓄積するが少ない
  • E2遺伝子:着色を誘導する機能が高い=アントシアニンをかなり蓄積する

つまり 着色しやすい(着色する遺伝子)順は【E2>E1,C-Rs>A】になります。

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引用【ブドウゲノム・遺伝子発現解析による果実成熟機構に関する研究の進展】

上記の遺伝子の組み合わせによってブドウの色が決定します。

  • A/Aの遺伝子の組み合わせは黄緑色=青系ブドウ
  • A/E1の遺伝子の組み合わせは赤色=赤系ブドウ
  • A/E2の遺伝子の組み合わせは紫黒色=やや黒系ブドウ
  • E2/E2の遺伝子の組み合わせは紫黒色=真っ黒系ブドウ

では上記のような組み合わせのブドウの一覧を紹介します。

四倍体ブドウ品種のMYB遺伝子型と果皮色の関係

品種 果皮色 MYB遺伝子型(着色誘導遺伝子)
白峰 黄緑 A A A A
翠峰 黄緑 A A A A
巨峰 紫黒 A A E1 E2
紫玉 紫黒 A A E1 E2
ピオーネ 紫黒 A A E1 E2
藤稔 紫黒 A A E1 E2
ナガノパープル 紫黒 C-Rs E1 E2
安芸津30号 紫黒 A E1 E1 E2
石原早生 紫黒 E1 E1 E2 E2
ブラックビート 紫黒 E1 E1 E2 E2
陽峰 A A A E1
安芸クイーン A A A E1
ゴルビー A A A E1
竜宝 A A A E1
ルビーロマン A A A E1
クイーンニーナ A A A E1

このようにE2の遺伝子を持つブドウが着色しやすいのが分かります。

特にブラックビートなどは夜温が高い熊本でも真っ黒に色づくと評判の品種です。

今まで不思議に思っていましたが、この遺伝子型の表を見れば納得ができます。

ちょっとした小話

ブラックビートは藤稔にピオーネを掛け合わせた、いわゆる【戻し交雑】をしたブドウです。また、熊本で品種が開発されました。

藤稔は井川682とピオーネを交配してできたブドウです。

その藤稔にもう一回ピオーネを交配させたので遺伝子を親のピオーネに近づける=元に戻す意味があるので戻し交雑になります。

つまり上の遺伝子型によって着色のしやすさが分かります。

藤稔や安芸クイーンはE1の遺伝子が少ないのでブラックビートなどに比べると着色しにくいのが分かりました。

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ブドウの着色不良の原因とは?

遺伝子型によって着色のしやすさが分かりましたが、気候によって着色が左右されます。

原因の1つとして

夜の気温が高くなってきているからです。

ベレーゾン期である【7月~8月】の過去と現在の気温の比較です。

1993年と2017年7月の気温推移の比較(地点 辻堂)

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    1993-7

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    2017-7

上のグラフを見ると1993年は最高気温が25℃前後を推移しています。

また30℃越えの日は少ないです。

2017年では平均気温が25℃を超えていて、最高気温は30℃を超える日が多くなっています。

1993年7月の最低気温は16℃ですが2017年では22℃と6℃近く上がっています。

メモ

  • 1993年7月は平均気温18~26℃ 最高気温20~29℃ 最低気温16~23℃
  • 2017年7月は平均気温25~27℃ 最高気温26~33℃ 最低気温22~26℃

1993年と2017年8月の気温推移の比較(地点 辻堂)

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    1993-8

  • ブドウの着色するメカニズム【着色不良の原因とその対策】 35

    2017-8

やはり8月も1993年は最高気温30℃超えの日は1~2日程度ですが、

2017年では20日を超えています

平均気温4℃上昇しています。

メモ

  • 1993年8月は平均気温19~26℃ 最高気温21~30℃ 最低気温18~25℃
  • 2017年8月は平均気温23~30℃ 最高気温23~34℃ 最低気温21~27℃

過去と現在の気温差について

データを比較するに平均気温 最高気温 最低気温 全てが過去と比べて上昇しています。

これにより、夜の気温が高いことで黒系・赤系ブドウは着色がしにくく

最高気温が高く日射しが強い影響で青系ブドウは日焼けが生じやすくなっています

ブドウの着色のメカニズム

植物は日中に光合成をして、糖(エネルギー)を作っています。

その糖を使ってブドウは赤や黒色に着色をします。

着色のサイクル

  1. 日中に光合成をして糖(エネルギー)を生産する
  2. 夜間に昼間生産した糖を使って着色をする←ココが問題!気温の上昇が原因です。

植物も呼吸している

植物も人と同じように「呼吸」をしています。

この呼吸により光合成で蓄えたエネルギー(糖)を使ってしまいます

夜の気温が低ければ、この呼吸による糖の消耗は少なく済むのですが。。

夜温の上昇で夜でも暑いため

熱帯夜が続くと植物も人と同じように

「アチィ〜。ゼーハァ、ゼーハァ」

のような感じで、呼吸により糖を大量に消耗します。

着色に使う糖を呼吸に使ってしまうので、着色がしにくくなるのです。

昼と夜の気温差がある、山梨や長野では綺麗に色づくことができます。

もちろん気温だけでなく日照不足や植物ホルモンも関係しているそうです。

着色と糖の関係

着色と糖の関係

糖度が着色に及ぼす影響は品種によって異なるが、

多くの品種において糖度が高まると着色が向上する傾向が認められた。

果粒糖度と色素(アントシアニン)含量の関係をみると、赤色系品種において高い正の相関が認められる。

また、相関係数は赤色系品種よりやや低いが、黒色系品種においても正の相関がある

ポイント

  • 糖度が高いと着色が良い
  • 逆に糖度が低いと着色が悪い
  • 赤系ではそれが最も顕著けんちょにあらわれている

ベレーゾン期で着色のしが決まる

ブドウの着色はベレーゾン期以降に急速に進行するが、この時期の果房周辺の気象条件(温度、光など)が着色に大きな影響を及ぼす。

1)温度条件
着色期の高温は着色を著しく抑制する。また、樹体全体に対する温度の影響よりも、

果房付近あるいは果実自体に対する温度の影響が大きいといわれる。

ベレーゾン期以降の高温により、ブドウ果皮における着色関連遺伝子の発現量が減少し、

アントシアニン合成が抑制されることで着色不良となる。

2)光条件
着色期の天候不良や、新梢の過繁茂による果房部の著しい日照不足は、着色不良果の発生につながる。

着色開始期に果房のみを完全に遮光すると、その他の条件が適当であっても着色が著しく抑制されることから、

果房自体が受ける光量や光質が着色に直接影響していると考えられる。

一方、光に対する着色反応性は品種間で異なる。

3)温度と光の相互作用
ブドウの栽培環境において、温度と光が着色に及ぼす影響は相互に関連し合っており、

低温と光照射の同時処理には着色を相乗的に促進させる効果がある。

ベレーゾン期について

ブドウの生育推移

ブドウの生育推移

ブドウの着色するメカニズム【着色不良の原因とその対策】 36

引用【ブドウゲノム・遺伝子発現解析による果実成熟機構に関する研究の進展】

ベレーゾン期【7月~8月】が着色に最も影響を与える時期です。

この時期に着色のスイッチが入ることで着色が進みます

逆にこの時期に高温であったり日照不足であると着色が悪くなります。

①第Ⅱ期

硬核期とも呼ばれ、一時的に種子の形成に養分が供給され、果粒の肥大が停滞する時期とされています。

しかし、種子を形成しない無核栽培においても不明瞭ながらもこの停滞する時期は存在します。

②ベレーゾン期

第Ⅱ期から第Ⅲ期に入る時期をベレーゾンと呼び、果実の生長は転換期になります。

果粒の軟化に加え、糖含量の増加と酸含量の減少、アントシアニン(色素成分)の生合成などの

大きな生理的な変化が起こり始めます。

「水が回る」とか「水を引き込む」などとも呼ばれています。

赤や黒の着色系品種はこの時期に着色が始まります。

③第Ⅲ期

果粒に養水分が急激に集積し、細胞が肥大する時期にあたります。

そのため、この時期の水分管理が不適切であると、裂果の発生を助長します。

まとめ【ブドウの着色不良対策】

チェックポイント

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