ブドウ 藤稔(ふじみのり)の概要
藤稔(ふじみのり)は当園の(故)青木一直が育種した品種で、「井川682」と「ピオーネ」を交配して誕生しました。
当時、ジャンボブドウとして大きく取り上げられ、栽培地を選ばないので現在は全国で幅広く栽培されております。
藤沢市を代表するブドウで、(故)小渕元総理大臣 にも献上されました。別名で「大峰」とも呼ばれております。
収穫・販売はここ神奈川県藤沢市で、8月中~下旬頃始まります。
交配品種
♀井川682×♂ピオーネ=藤稔
育成者
青木 一直(アオキ カズナオ)
品種登録年月日
1985年7月18日
ブドウの品種改良(育種)を始めた目的
【人々に喜ばれる葡萄】を目的とし、品種改良(育種)を始めました。
藤稔(ふじみのり)誕生の経緯
1973年 | 「ピオーネ」の苗を株式会社 植原葡萄研究所で購入。 |
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同年 | 「井川682」の苗を井川秀雄さんから頂く。 |
同年 | ピオーネ・井川682の栽培を開始。 |
1978年 | <交配を経て藤稔誕生>その「きっかけ」 長後から新宿へ引っ越されたお客様が、当園まで「井川682」を買いに来てくださいました。 「井川682」は大粒で旨いブドウでしたが、輸送性・貯蔵性が低く、新宿へ持ち帰る間に実が傷んでしまうという欠点があった。そこで輸送性・貯蔵性の良い「ピオーネ」を「井川682」と交配することで、良いブドウが生れるのでは?と一直は考えました。 |
1985年 | 品種登録 |
幸運 | 1回目の交配で生れた種を播種・育成したところ、藤稔が誕生しました。 |
ピオーネ | 1957年に、静岡県の井川秀雄が巨峰×カノンホールマスカットを交配し作出された4倍体品種である。巨峰よりも香りが強く、かつ日持ちのよい品種とされている 長所:貯蔵性・輸送性・味が良い。欠点:花ぶるいがし易く、栽培が難しい。 |
井川682 | 井川682号(クロシオ×(フレームトーケー×オパーレ) 最大の特徴は、ピオーネ以上になる超ジャンボブドウとして知られ、井川会では秘蔵の品種として一般には公開されていなかった。 長所:大粒・栽培容易。欠点:実割れ・輸送性・貯蔵性に難あり。 |
1997年 | 中国へブドウの栽培指導へ赴き(19??年)、金華市栄誉市民の表彰を受ける。 |
1999年 | (故)桜井いくぞう さん仲介のもと、(故)小渕 元総理大臣に藤稔を献上 |
現在 | 多くの方のご尽力により全国に藤稔は広まりました。 栽培方法が確立し、また、その技術も日々進歩しております。 |
藤稔(ふじみのり)の名前の由来
青木 一直(アオキ カズナオ)本人が
「藤沢で稔った(実った)から」という事で、「藤稔(ふじみのり)」と名付けました。
当初は当時の市長の提案で「プレジデント」という名前になる予定でしたが、当時、味噌(食品)でもともと販売されていた商品名「プレジデント」と重なるため、その予定は無くなりました。
ブドウ 藤稔(ふじみのり)の品種の特徴
藤稔(ふじみのり)の栽培について
藤稔の栽培で最も気をつかう点は畑の水分管理。藤稔は雨などに反応し易く、夏場など雨が少ない時に急な雨が降ると、一気に水分を吸収してしまい玉割れ(粒が割れる)が生じてしまいます。
そうならない為に、梅雨明けから何日か置きに適度な潅水(水やり)をします。
そうすることで、常に地面が湿った状態になり、水分を徐々に藤稔が吸収し、急な雨がきても急速な水分吸収を防ぐことができ、玉割れを防ぐことが可能です。
また、排水をよくするために暗渠(あんきょ)といって地中に排水管と砕石(籾殻など)を設置し、根っこが吸水し過ぎないように制御します。
しかし、近年は雨の量や、猛暑など異常です。
豪雨、滝の様な雨が降ってしまい、玉割れや、猛暑による着色不良が生じて、通常の露地栽培では困難になりつつあります。
ですが、①水分を含み易い、保水性の高い畑(下地や水田を盛り土した場所など)②水分が逃げやすい畑、排水性の高い畑(高台など)によって、異なりますので、一概には言えません。
藤稔(ふじみのり)の性質について
火山灰土土壌では暗紫赤色だが、適地で裁培すると紫黒色で果粉も多くなり品質向上します。
果皮は厚く剥きやすい。若木時代(3~5年頃)徒長するとやや裂果し易いが成木化して樹勢が落ち着けば裂果しなくなる。
枝葉も強靱で耐病性強く栽培容易です。樹勢が強いため、従来の長梢剪定だけではなく短梢剪定 にも向く品種です。
藤稔(ふじみのり)の味について
果肉はやや柔らかく酸味が少なく皮は厚くとても剥き易いです。また、口の中に繊維質が残らず食べやすい。
果汁が多く滴る甘さであり、子供でも一房ペロリと食べてしまう程の美味しさです。
巨大粒で話題を呼んだ本種の最大の特色は粒の大きさです。1粒20gを超えて最大32gにも達します。(天候などによる)