果樹の病気・害虫図鑑

ブドウの黒とう病対策【休眠期~収穫期までの防除・農薬を解説】

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発芽(萌芽)前の3月までに対策を行うことで、夏に発生するブドウの黒とう病の発生をかなり減らせる事ができます。

ブドウの黒とう病は果実や枝、葉っぱに黒い点が発生する病気です。

シャインマスカットなど休眠期にトップジンペーストを3倍希釈したものを結果母枝に塗布することでも発生を軽減できます。

その後は、農薬の予防剤と治療剤とを組み合わせて黒とう病を防ぎます。

また、黒とう病は雨で拡散するので、傘などをかけると防ぎやすくなります。

 

先に結論!
  1. 休眠期にトップジンペーストを3倍希釈したものを結果母枝に塗布することで発生を抑制できる。
  2. 休眠期の防除でデランフロアブルや石灰硫黄合剤は黒とう病の発生を減らす。
  3. 黒とう病は雨で感染するので、冬に棚に残っている巻きひげ・巻ツルや枝は除去する。
  4. 雨で感染するので、タイベック傘をかけることで発生を防ぐことができる。
  5. 黒とう病が発生する前は、雨が降る前に予防剤でコーティングして、発生したあとは雨後に治療剤を散布する。
  6. 治療剤は耐性菌が出やすいので、回数および濃度はしっかり守る。
  7. 黒とう病が発生した新梢や果実は園外に持ち出して拡散を防ぐ。(雨水は2mも跳ねるのでそれで拡散する)
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ブドウの黒とう病とは?

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黒とう病の概要を解説します。
サクッとお願い。
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ブドウの黒とう病について
  1. ブドウの黒とう病の越冬枝病斑は雨を介して、4月から8月の時期に新梢葉へ感染する。
  2. 降雨が続くと発生が増加する。
  3. 4~5月になると、降雨のたびに分生子を多数形成し雨滴とともに感染を繰り返します。
  4. 特に、萌芽したばかりの軟らかい新梢や新葉は本病に感染しやすい。
  5. 発病部位は見つけ次第除去し、園外へ持ち出し適切に処分しましょう。
  6. 柔らかい葉・新梢・果実を好み、硬くなった葉や新梢では発病しなくなる。
  7. 古い葉っぱから新しい葉っぱへ伝染していく。

 

以上が、ブドウの黒とう病(こくとう病)の特徴になります。

基本的に、棚に残っている枝(巻きひげ)や、結果母枝の芽の付近などに潜伏して、気温が高くなってくると活動を再開します。

 

つまり萌芽開始とともに活動を再開するので、黒とう病が発生してしまうと、萌芽(発芽)直後の芽にダメージが発生します。

芽が小さく柔らかい時期なので被害が発生し易く、被害が大きくなります。

なので、休眠期における防除は必須の作業になります。

 

雨で感染が拡大するので、傘をかけることで感染拡大を阻止できます。

 

ブドウの黒とう病の感染源・被害の画像・発生時期

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青木果樹園
黒とう病について深掘りして画像で解説します。
画像付きは分かりやすい。
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感染源

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黒とう病は棚に残っている巻きひげや、被害枝が第一次伝染源になります。

巻きひげ(巻つる)の中に黒とう病が入り込み、越冬して翌年にそこが発生源として黒とう病をまき散らします。

結果母枝の芽の付近にも潜伏しています。

 

黒とう病の被害の画像

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上の画像のように、葉や枝、房に黒点のようなものが発生して外観を損ねてしまいます。

これにかかった部分はほぼ処分することになるので、収穫量が激減します。

 

一度かかってしまうと黒の斑点はなくならず、成長を阻害するので非常に厄介です。

特に、骨格枝をつくっている時の主枝が黒とう病にかかると、作り直しする必要がでてきます。

 

感染源から房へ伝染する

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新梢の根元(新葉)から先へ先へ黒とう病は感染していき、新梢→柔らかい葉っぱ→房へと伝染します。

古い葉っぱは硬くなっているので感染せず、新しい葉っぱは柔らかいため感染がしやすいためです。

 

発生時期と条件

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ブドウ黒とう病の発芽前防除 果樹試験場

 

黒とう病の発生条件と時期
  1. 棚に残った巻きひげや枝が残っていると、そこから雨を介して4月から8月の時期に新梢葉へ感染する。
  2. 4~5月になると、降雨のたびに分生子を多数形成し雨滴とともに感染を繰り返します。
  3. 特に、萌芽したばかりの軟らかい新梢や新葉は本病に感染しやすい。
  4. 降雨が続く梅雨の時期(6月~7月)に最も感染拡大をする。
  5. 黒とう病が発生した新梢などは圃場の外へ持って行く。切った新梢が地面に置いてあると、雨が降って跳ね返り菌が拡散するので。(2mほど雨水が跳ねる)
  6. 休眠期に石灰硫黄合剤やデランフロアブルを散布することで発生率を減らすことができる。

 

【休眠期の黒とう病の防除1】感染源となる巻きひげを除去する

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棚に巻き付いている『巻きひげ』が感染源となるので、剪定鋏や専用の巻きひげ切狭で除去します。

この巻きひげに、黒とう病が潜んでいるので、残っているとそこから雨水を伝って感染を広げます。

 

 

【休眠期の黒とう病の防除2】トップジンMペーストを結果母枝に塗布

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巻きひげを残さず除去するのが基本ですが、

結果母枝に薄めたトップジンMペーストを塗布することで発生をかなり抑制することができます。

 

黒とう病は芽の付近に潜伏しており、ブドウの萌芽とともに活動を再開します。

なのでそこに薄めたトップジンMペーストを塗布することで殺菌することができ、発生を抑制できます。

 

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塗布する時期

塗布する時期は萌芽直前の3月頃です。

ブドウの萌芽が近づく頃に菌も活動してくるのでそこを狙います。

 

栽培環境によって異なりますので、温室栽培や寒い地域では前後します。

 

3倍希釈液の作り方

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結果母枝に塗布するのでけっこう量を使います。

合計1200mlの希釈液を使うとして計算すると、

トップジンMペーストを400mlに水800mlを加えることで、3倍希釈液1200mlができます。

 

作り方メモ

トップジンMペースト400ml+水800ml=3倍希釈液1200ml

 

塗布する手順とポイント

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  • ブドウの黒とう病対策【休眠期~収穫期までの防除・農薬を解説】 651

 

これを刷毛で結果母枝に塗布します。

結果母枝とは今夏に新梢が伸びる元になる枝を指します。

黒とう病は芽の付近に潜伏しているのでしっかり塗りましょう。

 

骨格枝や短梢剪定でのこした母枝に塗布します。もちろん長梢剪定で残した枝にも。

注意点はあくまで結果母枝に塗布です。

古い枝(2年枝以上)に塗布しても効果は無いので注意しましょう。

 

 

トップジンMペーストを塗布をした方が良い品種

露地栽培でヨーロッパ系統の遺伝子が入っている品種はしといた方が良いです。

シャインマスカットやクイーンニーナ、安芸クイーンなどですね。

ヨーロッパ系統の遺伝子を持つ品種は、総じて病気に弱いからです。

 

ただ、黒とう病は雨で感染するので、ハウス栽培や屋根かけ栽培であればしなくても問題ありません。

 

【休眠期の黒とう病の防除3】農薬一覧・散布時期

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休眠期に使う農薬を紹介!
変更になる可能性もあるので、必ずラベルを確認しような!
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青木果樹園

 

治療剤
  • インダーフロアブル(フェンブコナゾール)
  • フリントフロアブル25(トリフロキシストロビン)
  • ベンレートT水和剤20(チウラム+ベノミル)
  • ベフラン液剤25(イミノクタジン)
予防剤
  • デランフロアブル(ジチアノン)
  • ベンレートT水和剤20(チウラム+ベノミル)

※()内は成分

注意事項

治療剤は耐性菌が出現し易いので回数・濃度は確実に守りましょう。

記載してある農薬は2020年のもので、変更になる場合があるので使用前は必ずラベルを確認しましょう。

 

散布時期

休眠期防除にデランフロアブルの 200 倍液か、

石灰硫黄合剤の 10 倍液を発芽前に散布すると高い防除効果が得られることが明らかとなりました(図2)。

休眠期防除剤として既普及の他剤と比較して、石灰硫黄合剤はブドウ黒とう病の発生抑制期間が長く、安定した防除効果が期待できます。

 

ブドウの黒とう病の予防剤

 

ブドウの黒とう病の治療剤

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【梅雨~収穫期の黒とう病の防除1】傘で雨水を防ぐ

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伝染源となる胞子は雨水とともに飛び散るので、果房に雨水を当てないように早めにカサや袋かけを行います。

摘粒が終わっていない状態でも傘をかけることで感染率を下げることが可能です。

 

傘かけの時期

傘をかける時期は2回目のジベ処理が終わった後に傘かけを行い(梅雨に入る前に行う)、袋かけを後日行うのがベストです。

着色不良対策に不安があるならば、BIKOOの袋などを使うのが良いです。

 

ブドウ傘

 

ブドウ袋

 

【梅雨~収穫期の黒とう病の防除2】農薬一覧・散布時期

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黒とう病に使う農薬を紹介!
変更になる可能性もあるので、必ずラベルを確認しような!
ブドウの黒とう病対策【休眠期~収穫期までの防除・農薬を解説】 624
青木果樹園

 

農薬には治療剤と予防剤の2種類あります。

予防剤は植物をコーティングして病気から守る薬で、治療剤はすでに発生している病気に対して浸透して退治する薬です。

黒とう病が発生する前は、雨が降る前に予防剤でコーティングして、発生したあとは雨後に治療剤を散布するのがセオリーです。

 

黒とう病が発生したら基本は治療剤を散布しますが、耐性菌が出現し易いので必ず回数および濃度を守って使いましょう。

耐性菌が発生してしまうと、今後その農薬は効かなくなってしまうので注意。

 

治療剤
  • オンリーワンフロアブル(テブコナゾール)
  • オーシャインフロアブル(オキスポコナゾールフマル酸塩)
  • マネージDF(イミベンコナゾール)
  • フルーツセイバー(ペンチオピラド)
  • アミスター10フロアブル(アゾキシストロビン)
  • ストロビードライフロアブル(クレソキシムメチル)
  • ファンタジスタ顆粒水和剤(ピリベンカブル)
  • ホライズンドライフロアブル(シモキサニル+ファモキサドン)
  • ポリベリン水和剤(イミノクタジン+ポリオキシン)
予防剤
  • ジマンダイセン水和剤(マンゼブ)
  • ペンコゼブフロアブル(マンゼブ)
  • オーソサイド水和剤80(キャプタン)

※()内は成分

注意事項

治療剤は耐性菌が出現し易いので回数・濃度は確実に守りましょう。

記載してある農薬は2020年のもので、変更になる場合があるので使用前は必ずラベルを確認しましょう。

 

散布時期

雨水で伝染するので重点防除期間は梅雨~収穫期です。

収穫期以降は枝が登熟して木化および落葉するため、感染が拡大しずらくなります。

 

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【梅雨~収穫期の黒とう病の防除3】罹病した枝や葉っぱを除去する

ブドウの黒とう病対策【休眠期~収穫期までの防除・農薬を解説】 697

罹病した枝や葉っぱは摘心をして畑の外に持ち出します。

そのままにしておくと、それが伝染源になるので注意しましょう。

 

ブドウの黒とう病対策|まとめ・参考資料

まとめ
  1. 休眠期にトップジンペーストを3倍希釈したものを結果母枝に塗布することで発生を抑制できる。
  2. 休眠期の防除でデランフロアブルや石灰硫黄合剤は黒とう病の発生を減らす。
  3. 黒とう病は雨で感染するので、冬に棚に残っている巻きひげ・巻ツルや枝は除去する。
  4. 雨で感染するので、タイベック傘をかけることで発生を防ぐことができる。
  5. 黒とう病が発生する前は、雨が降る前に予防剤でコーティングして、発生したあとは雨後に治療剤を散布する。
  6. 治療剤は耐性菌が出やすいので、回数および濃度はしっかり守る。
  7. 黒とう病が発生した新梢や果実は園外に持ち出して拡散を防ぐ。(雨水は2mも跳ねるのでそれで拡散する)
まとめ!
ブドウの黒とう病対策【休眠期~収穫期までの防除・農薬を解説】 698

 

参考資料

 

 

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