果樹の病気・害虫図鑑

【農薬の使用基準とは?】農薬の種類・使い方・溶かし方・使用上の注意点を解説

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【農薬の使用基準とは?】農薬の種類・使い方・溶かし方・使用上の注意点を解説 164
先に結論!
  1. 適用作物、使用量、総使用回数、使用時期の遵守をしないと罰則がある。
  2. 農薬も剤型によって溶かす順番がある。
  3. 予防剤は雨の前、治療剤は雨の後に散布。
  4. 展着剤には3種類ある。
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農薬の使用基準とは?

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青木果樹園
農薬を使用する上で必ず守るべき基準の解説です。
違反すると罰則に対象になるぞ!
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青木果樹園

 

適用作物の遵守

登録済みの農薬を使用する

 

『登録される』ことで農薬は初めて使用可能な薬になる。

例えば、Aという農薬は大根に登録があるが梨に登録が無かった場合は、大根には使っていいが梨には使用してはいけない。

その農薬が何の作物に使っていいのか、『適用作物』を確認するのが重要です。

仮に適用作物でないのに、使用した場合は残留農薬の基準値を超えるので出荷停止・販売禁止になります。

 

使用量の遵守

希釈倍率の最低値を下回らない

 

例とえば、希釈倍率1000倍と記載されていた場合、900倍や800倍など濃い濃度で散布してはいけません。

記載されている濃度より濃い濃度で使用した場合は、残留農薬の基準値を超えるので出荷停止・販売禁止になります。

 

総使用回数の遵守

総使用回数を超えない

 

使用回数が2回と記載されていたら、2回までしか使ってはいけません。

3回以上使ってしまった場合は、残留農薬の基準値を超えるので出荷停止・販売禁止になります。

適用作物次第では農薬の成分で制限されるので、同じ成分を含む農薬については注意。

 

例えば、成分のマンゼブの総使用回数が3回までならば、

商品名:ジマンダイセン(マンゼブ含む)を1回使用して、

商品名:ペンコゼブ(マンゼブ含む)を2回使用したら、それ以上は両方とも使ってはいけません。

商品名が違っていても成分が同じなので、両者合計で3回まで使用可能になります。

 

それぞれで2回ずつ使ってしまった場合は、マンゼブの総使用回数が4回になってしまうため出荷停止・販売禁止になります。

 

使用時期の遵守

収穫前日数を確認する

 

収穫前日数に10日と記載されていれば、収穫が始まる日の10日前からはその農薬を使用してはいけない。

7/30に収穫予定ならば7/20から、その農薬は使用してはいけない。7/19までなら使用可能。

使用時期が『前日』ならば、7/29の朝6:00に農薬の散布が終了したならば、24時間後の7/30の朝6:00以降ならば収穫をして良いことになる。

仮に7/30の朝5:00に収穫して、3時間後の8:00に出荷した場合はアウト(出荷停止)になる。

あくまでも収穫前日数なので、収穫した時刻・日付が基準となる。

 

また、出荷や販売をする際に提出が求められる農薬使用履歴簿には必ず収穫日(収穫開始日よ収穫終了日)を記入する。

収穫日の記載が無い場合、農薬との整合性がとれないため。

 

罰則について

適用作物、使用量、総使用回数、使用時期を守らない場合は罰則が設けられています。

これらに違反した場合、3年以下の懲役、100万円以下の罰金が科せられます。

 

最終有効年限を守る

これに違反しても罰則はありませんが、最終有効年限の過ぎた農薬を使っても、殺菌・殺虫の効果が出なくなるので散布しても意味が無いです。

ラベルに記載のある『最終有効年限』を過ぎた農薬は、残っていても使わずに適切に廃棄しましょう。

 

農薬の剤型について

剤型によって薬害の出やすさ・溶けやすさが異なります。

また、農薬名は下の成分によってつけられています。

農薬を形つくる成分

例えば フェニックス顆粒水和剤は、有効成分の名称がフェニックスで、顆粒水和剤は剤型になります。

  • 有効成分⇒例、フェニックス、モスピランなど
  • その他(水和剤、展着成分、増量剤など)⇒剤型(例、フロアブル、顆粒水和剤など)

 

剤型による溶けやすさと投入する順番

液剤、水溶剤、乳剤、顆粒水和剤やドライフロアブル、フロアブル(ボルドーは袋の中でしっかり混ぜる)はタンクに直接投入しますが、水和剤はバケツで少量の水に溶かしてからタンクに投入します。

  • タンクに直接投入する薬剤:液剤、水溶剤、乳剤、顆粒水和剤やドライフロアブル、フロアブル(ボルドーは袋の中でしっかり混ぜる)
  • バケツで少量の水で溶かしてからタンクに投入する薬剤:水和剤

 

下の図は上から溶けやすい順番になり、そして農薬を入れる順番です。

例えば、フェニックス顆粒水和剤とポリベリン水和剤を使う場合は、先に溶けやすい顆粒水和剤を入れた後に、バケツなどで溶かした水和剤をタンクに入れます。

顆粒水和剤やドライフロアブルには拡散しやすくする成分が含まれているので、水和剤より先に溶かします。

溶けやすさと、投入する順番

  • 展着剤

    展着剤は製剤を水中で分散し易くする作用があるので、最初に入れます。

    ただし、一部の展着剤には最初に入れることを推奨されていないものあるので、使用前にラベルの注意事項を確認する。

  • 液剤

    液体なので水との親和性が高い。


  • 水溶剤

    水に溶ける剤、粉が舞うものもある。


  • 乳剤

    乳化しているので水に溶ける。薬害が出やすい。

  • 顆粒水和剤(WDG)

    展着成分が含まれていて、溶けやすく拡散し易い。粉が舞いにくい。高価。

  • ドライフロアブル(DF)

    フロアブルを乾燥させたもので、展着剤成分によって拡散し易くなっている。

  • フロアブル(SC)

    水和剤を液体に溶かした物。拡散しやすい。高価。

  • 水和剤

    溶けにくく粉が舞いやすい。時間経過で沈殿するのでタンクに入れた後は直ぐに散布する。安価。

 

成分名が同じだけど剤型が違う農薬

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同じ成分名だけど、剤型が違う農薬もあります。
剤型が違うだけで、適用作物も変わってくるので注意が必要だぞ。
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スミチオン乳剤とスミチオン水和剤

スミチオン乳剤はウメに登録があるので使用可能です。

しかし、スミチオン水和剤はウメに登録が無いので使用できません。

剤型が変わってくると効果が変わるので、同じスミチオンでも剤型によって使用の可否が変わります。

なので、使用前は必ずラベルを確認して適用作物かを確認しましょう。

 

フェニックスフロアブルとフェニックス顆粒水和剤

日本ナシには成分名フルベンジアミドを含む農薬の総使用回数は2回までと記載されています。

フェニックスフロアブルとフェニックス顆粒水和剤は剤型が違っていても、成分名がフェニックス(フルベンジアミド)なので合わせて2回までしか使えません。

 

剤型が違っていても成分名が同じ場合は総使用回数の対象になるので注意しましょう。

 

予防剤・治療剤の違い

農薬には治療剤と予防剤の2種類あります。

予防剤は植物をコーティングして病気から守る薬で、治療剤はすでに発生している病気に対して浸透して退治する薬です。

病気が発生する前は、雨が降る前に予防剤でコーティングして、発生したあとは雨後に治療剤を散布するのがセオリーです。

 

病気が発生したら基本は治療剤を散布しますが、耐性菌が出現し易いので必ず回数および濃度を守って使いましょう。

耐性菌が発生してしまうと、今後その農薬は効かなくなってしまうので注意。

 

展着剤の種類

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展着剤には3種類あります。
それぞれで機能が違うんだな。
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種類 特長
展着剤(一般展着剤) 薬液の濡れ性、付着性、拡展性、懸垂性などを強化し、薬液を均一に付着させます。
機能性展着剤 薬液の浸透性・浸達性などを強化し、薬液を植物体内に入り易くさせます。
固着剤 薬液の付着性、固着性などを強化し、薬液を植物体に固着させ耐雨性を向上させたりします。

 

一般展着剤(展張剤)

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農薬を弾きやすい作物への付着性を高め、農薬の防除効果を高める効果があります。

 

固着剤

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作物に付着した農薬をより強固にくっつけることで、雨などで農薬が流れないようにしたり、効果を長持ちさせることができます。

 

機能性展着剤(浸透剤)

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農薬の有効成分が葉の表面から内部へとしみ込む作用を強化します。

使い方として、ICボルドの散布時に機能性展着剤を添加するとより効果が出ます。

 

農薬との相性

浸透移行性を持つ農薬に固着性の展着剤を添加した場合、せっかく浸透移行性の成分を持つのに固着性の展着剤が邪魔をしてしまって、その農薬の性能を十全に引き出せません。

 

使う農薬の成分を確認してから、展着剤は補助的な物として使用しましょう。

 

農薬の使用基準|まとめ・参考資料

 

まとめ
  1. 適用作物、使用量、総使用回数、使用時期の遵守をしないと罰則がある。
  2. 農薬も剤型によって溶かす順番がある。
  3. 予防剤は雨の前、治療剤は雨の後に散布。
  4. 展着剤には3種類ある。
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参考資料

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