果樹の病気・害虫図鑑

ブドウ べと病対策|被害症状・発生時期・防除・農薬の散布間隔を解説

2012年11月21日

ブドウ べと病対策|被害症状・発生時期・防除・農薬の散布間隔を解説 403

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べと病は予防剤の散布サイクルを徹底することで発生を減らすことができます。

発生した場合は罹病した葉っぱや果実などを園外に持ち出しましょう。

 

先に結論!
  1. べと病は冬に落葉した落ち葉が、べと病の越冬源となる。
  2. 雨で感染するので、ぶどう傘をかけることで発生をある程度防ぐことができる。
  3. べと病が発生する前は、雨が降る前に予防剤でコーティングして、発生したあとは雨後に治療剤を散布する。
  4. べと病の防除のサイクルは展葉5~6枚期からおよそ10日間隔で予防散布を行う。
  5. 5月下旬~7月下旬(収穫時期まで)は7~10日間隔で散布します。予防剤を散布しつつ、べと病が発生したら治療剤を代わりに散布します。
  6. 治療剤は耐性菌が出やすいので、回数および濃度はしっかり守る。
  7. べと病が発生した新梢や果実は園外に持ち出して拡散を防ぐ。(雨水は2mも跳ねるのでそれで拡散する)
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ブドウのべと病とは?

ブドウのべと病について
  1. 冬に落葉した落ち葉が、べと病の越冬源となる。
  2. 越冬した病原菌は 5月中旬頃に活動が活発となり、雨水や水滴とともに気孔から侵入し感染します。
  3. 感染後好適な条件であれば数日、長くて 2 週間程度で発病し、発病4~5日後には病斑の裏側に白色のカビを形成して、以降再感染を繰り返します。
  4. 被害は春から晩秋にかけて発生しますが、特に春期と秋期は生育に適した気温(20~22℃)となるため、降雨が続くと多発生しやすくなります。
  5. 開花期から幼果期(6月頃)及び9~10月にかけての低温および連続降雨により多発する。
  6. 8月の高温乾燥期には病勢は一時的に止まる。
  7. 気温が低くなりはじめ、秋雨が続くと副梢の葉などで発病が多くなる。
  8. べと病は梅雨の時期に多発するので、徹底した予防剤の散布サイクルを行う。
  9. べと病にかかると落葉が多発して、生育に重大な悪影響をもたらす。

以上が、ブドウのべと病の特徴になります。

 

ブドウのべと病の感染源・被害の画像・発生条件と時期

べと病の感染源

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べと病は落葉した葉っぱ第一次伝染源になります。落葉した葉っぱ中にべと病が入り込み、越冬して翌年にそこが発生源として、べと病をまき散らします。

 

べと病による被害症状

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上の画像のように葉の裏にコロニーを形成して、そこから更に雨風によって房に伝染します。房に感染すると、茶色い凹んだようなシミができてしまい、そこから更に広がると梅干しのようになってしまいます。

特に怖いのが葉っぱに感染すると、落葉が多発してしまい、光合成ができなくなってしまうことです。あるブドウ園ではべと病が多発して、『葉っぱが全て落葉してしまった』事例もあります。

黒とう病と同様に収穫量が激減する病気です。

 

べと病の発生条件と時期

べと病の発生条件と時期
  1. 冬に落葉した落ち葉が、べと病の越冬源となる。
  2. 越冬した病原菌は 5月中旬頃に活動が活発となり、雨水や水滴とともに気孔から侵入し感染します。
  3. 感染後好適な条件であれば数日、長くて 2 週間程度で発病し、発病4~5日後には病斑の裏側に白色のカビを形成して、以降再感染を繰り返します。
  4. 被害は春から晩秋にかけて発生しますが、特に春期と秋期は生育に適した気温(20~22℃)となるため、降雨が続くと多発生しやすくなります。
  5. べと病は梅雨の時期に多発するので、徹底した予防剤の散布サイクルを行います。

 

べと病の防除の方法と対策|耕種的防除の一覧

耕種的防除(こうしゅてきぼうじょ)とは農薬を使わない防除方法のことです

 

冬期に落ち葉を畑にすき込む

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発病した花穂や果房、葉などは見つけ次第除去し園外に持ち出すなどして処分するのが重要です。ベト病の越冬源となる落ち葉は、越冬源となるので冬のうちに畑にトラクターなどで畑にすき込むか、回収して処分をします。

土の中にすき込んでしまえば菌は地上に出てこないので、冬の施肥・お礼肥や元肥の時にすき込めば効率が良いです。

ただし、ブドウの樹勢が良い火山灰土壌ではトラクターが根っこを傷つけると、

新たな新根が発生しやすくなり、結果として樹勢が強くなってが暴れやすくなるデメリットもあります。

 

草生栽培(そうせいさいばい)で泥はねを防止

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    ドロはねが起きる状態
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    草を生やすことでドロはねを防げる

地面がむき出しの状態だと、雨が降ったときに泥が跳ねることで病原菌が拡散します。一説には降雨によって2mも雨水が跳ねると言われています。

なので、ある程度の草丈の草を生やすことで(ラビットモアなどで刈り高を高くする)、泥跳ねを防止できるので病気の発生リスクを低減できます。

根こそぎ草を無くしてしまう清耕栽培(せいこうさいばい)を行っている場合は、敷き藁や光反射シートなどで地面を覆ってしまえば発生を減らすことが可能です。

 

 

感染源は畑の外もしくは土の中に

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感染した枝や葉っぱ、果実は二次感染源となるので園外に持って行くか土の中にすき込んでしまいます。

感染が発覚したら早急に対処しましょう。

 

摘心で風通しを良くする

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徒長した新梢や新梢や葉っぱが多い部分にも発生しやすいので摘心などの栽培管理が重要です。

雨後の乾燥をはかるため、通風採光をよくするのが大切なので、ブドウの摘心をすることで風通しを良くしましょう。

葉っぱが多く重なっていると農薬のかけムラ(かからない所が出る)が発生するので、風通しを良くするのも手段の1つです。

 

 

ぶどう傘を設置して伝染を防ぐ

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べと病も黒とう病と同じで雨水を介して伝染します。雨水が房につくのを防ぐには『傘』を設置するのもオススメです。

時期としては二回目のジベレリン処理が終えた頃にブドウ傘を設置することで、摘粒が多少心の余裕をもって行えます。

 

傘をかけていないと梅雨に突入して、防除が全く出来ない状況になりやすいです。その防除ができない間に葉から房に感染して被害が拡散してしまいます。

傘をかけていれば、房への感染も減らせますので摘粒と防除の時間調整もし易くなるのでオススメです。

 

 

開花直前・開花後~7月上旬までのべと病の防除|農薬一覧・散布時期

農薬には治療剤と予防剤の2種類あります。

予防剤は植物をコーティングして病気から守る薬で、治療剤はすでに発生している病気に対して浸透して退治する薬です。

べと病が発生する前は、雨が降る前に予防剤でコーティングして、発生したあとは雨後に治療剤を散布するのがセオリーです。

べと病が発生したら基本は治療剤を散布しますが、耐性菌が出現し易いので必ず回数および濃度を守って使いましょう。耐性菌が発生してしまうと、今後その農薬は効かなくなってしまうので注意。

 

農薬一覧

治療剤
予防剤

※()内は成分

注意事項

治療剤は耐性菌が出現し易いので回数・濃度は確実に守りましょう。

記載してある農薬は2020年のもので、変更になる場合があるので使用前は必ずラベルを確認しましょう。

 

散布時期および散布間隔

5月下旬~7月下旬(収穫時期まで)は7~10日間隔で散布します。

※べと病の防除のサイクルは展葉5~6枚期からおよそ7~10日間隔で予防散布を行う。新梢の生育が旺盛な5~6月は7~12日間隔で農薬を散布する。

予防剤(ICボルドーやイデクリーンなど)を7~10日間隔で散布しつつ、べと病が発生したら予防剤の代わりに治療剤を散布するかんじです。

 

ICボルドーとイデクリーンの白濁の比較

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    ボルドー液が付着した房
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    イデクリーンが付着した房

ボルドー系統の農薬は必ず袋かけをしてから散布します。でないとブドウの房が白濁してしまいますので注意しましょう。

右側の画像はイデクリーンが付着した房です。ボルドーに比べると白濁があまり目立ちませんので、傘かけだけでも十分許容できるかもしれません。

 

7月上旬以降・収穫後のべと病の防除|農薬一覧・散布時期

 

環境保全型農薬

予防剤

※()内は成分

注意事項

治療剤は耐性菌が出現し易いので回数・濃度は確実に守りましょう。

記載してある農薬は2020年のもので、変更になる場合があるので使用前は必ずラベルを確認しましょう。

 

通常防除型農薬

治療剤
予防剤

※()内は成分

注意事項

治療剤は耐性菌が出現し易いので回数・濃度は確実に守りましょう。

記載してある農薬は2020年のもので、変更になる場合があるので使用前は必ずラベルを確認しましょう。

 

散布時期

7月上旬以降・収穫後に散布する。

 

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ブドウ べと病対策|まとめ・参考資料

まとめ
  1. べと病は冬に落葉した落ち葉が、べと病の越冬源となる。
  2. 雨で感染するので、ぶどう傘をかけることで発生をある程度防ぐことができる。
  3. べと病が発生する前は、雨が降る前に予防剤でコーティングして、発生したあとは雨後に治療剤を散布する。
  4. べと病の防除のサイクルは展葉5~6枚期からおよそ10日間隔で予防散布を行う。
  5. 治療剤は耐性菌が出やすいので、回数および濃度はしっかり守る。
  6. べと病が発生した新梢や果実は園外に持ち出して拡散を防ぐ。(雨水は2mも跳ねるのでそれで拡散する)
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