潅水設備の完成図
上の図が完成図です。塩ビ管を繋げた3カ所に電磁弁を設置して制御盤(潅水タイマー)で①~③をそれぞれ別々に潅水する潅水設備の作り方です。
電磁弁はDC24Vのものを使っています。
制御盤(自動潅水機)の作り方はnoteの『水道管の電磁弁を制御する自動潅水機(制御盤)の作り方』の記事で販売しています。
潅水設備に使う材料
道具名 | 使用圧力 | リンク先 |
---|---|---|
エルボソケット | 0.75MPa | TS継手 エルボ |
バルブソケット | 0.75MPa | TSバルブソケット |
チーズソケット | 0.75MPa | TS継手 チーズ |
給水栓チーズソケット | 0.75MPa | TS給水栓チーズ |
ネジつきホーセンド | 0.6MPa | カクダイ ネジつきホーセンド |
コック付きジョイントニップル | 0.7MPa | コック付ホースジョイントニップル |
砲金六角ニップル(青銅製) | 1.75MPa | TBC 砲金六角ニップル 20 |
六角ニップル (ステンレス) | 2.0MPa | ステンレス製ねじ込み継手 六角ニップル |
ボールバルブ(黄銅製) | 0.7MPa | ボールバルブ(600型・黄銅) |
ボールバルブ(TS製) | 1.0MPa | 塩ビ製ボールバルブ |
電磁弁(青銅製) | 0.6MPa | CKD ADK11-20A-03A-DC24V 電磁弁 |
水道ホース | 0.7MPa | 耐圧ホース15×20 |
塩ビ管 | 0.75MPa | VP20 1m 塩ビ管 |
保温チューブ | - | 保温チューブ20A用 |
凍結防止資材 | - | MGベルト 寒冷紗貼(ロックウール保温帯) |
耐熱テープ | - | アルミガラスクロステープ |
塩ビ用接着剤 | - | 塩ビパイプ用接着剤 |
シールテープ | - | シールテープ |
一般的な水道の圧力
一般的な水道の水圧は0.2~0.4MPaですが、場所によって異なります。また、井戸水などが水源の場合、ポンプでくみ取るときは更に水圧が高くなるケースがあります。
その場合は水道関係の部材が壊れる恐れがあるので、水圧のチェックは必ずしましょう。
塩ビ管の弱点
塩ビ管の弱点 | 説明 |
---|---|
低温で脆くなる | 5℃以下になると衝撃値が急速に低下するため割れやすくなります。 |
切り欠き(ノッチ)効果に弱い | 材料に穴やキズなどの切り欠き(ノッチ)があると、そこに応力が加わった場合に応力集中して強度が低下します。 |
光(熱)で曲がる | 熱伝導率が小さく、線膨張率が大きいので太陽熱で表面が伸びて曲がりや反りが発生します。 |
紫外線に弱い | 太陽光の紫外線によって管表面がアタックを受けて酸化による影響で白化します。 |
有機溶剤に弱い | 芳香族炭化水素に溶けます。シンナー、ベンゼン、トルエン、アセトン、クレオソートなど。 |
塩ビ管(VP/TS)の弱点は以上になります。低温時に割れやすい塩ビ管の性質を改善した耐衝撃性の水道管HIVPもあるので、冬も潅水する場合はHIVPが良いでしょう。
あと紫外線を防ぐためにも保温チューブを巻くのが良いです。そうすることで紫外線と直射日光による熱から部材を長期に守ることができます。
完成後は全体に保温チューブを巻いておきましょう。
潅水設備に使った工具
電磁弁やボールバルブをつける時の注意点|異種金属接触腐食
電磁弁やボールバルブなどが何製なのかを必ず確認しましょう。違う種類の金属同士を繋げると異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が生じて、片方の金属が錆びてしまいます。
例えば、今回使ったボールバルブは黄銅製ですが、そこにステンレス製の継ぎ手ニップルを繋げると、黄銅製のボールバルブが錆びます。
その反応を異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)と言います。
金属の種類毎に電位が異なり、電位が高いモノを貴金属(腐食しにくい)、低いモノを卑金属(腐食し易い)と呼びます。
電位が高い金属と電位が低い金属を繋げると電流が電位が低い金属に流れて腐食します。これを電食とも呼びます。
参考文献では、ステンレス(SUS304)ニップルを鋳鉄のエルボを繋げたら、鋳鉄のエルボが腐食して穴が空いた。(約16年使用で)とあります。
異種金属の組み合わせ表
アルミニウム | 鋼 | 黄銅 (真鍮) |
銅 | 青銅 (砲金/ブロンズ) |
ステンレス | |
アルミニウム | ◎ | × | × | × | × | × |
鋼 | × | ◎ | × | × | × | × |
黄銅 (真鍮) |
× | × | ◎ | 〇 | 〇 | × |
銅 | × | × | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
青銅 (砲金/ブロンズ) |
× | × | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
ステンレス | × | × | × | 〇 | 〇 | ◎ |
◎:同材質であり、組合せ可能
〇:異種金属であるが、組合せ可能
×:異種金属であり、電位差が大きく組合せ不可。組合せる場合は絶縁処理をして、接触させない必要があります。
金属ごとの電位
標準電位 | イオン化傾向 | 金属の種類 |
---|---|---|
高い | 低い(貴金属) | 金 |
↑ | | | | | ↓ |
銀 | |
ステンレス鋼 (18Cr-8Ni) |
||
青銅(6-10Sn)/ 砲金/ブロンズ |
||
耐脱亜鉛黄銅 (85Cu-15Zn) |
||
銅 | ||
黄銅(60Cu-40Zn)/ 真鍮 |
||
錫 | ||
鉛 | ||
鋳鉄(ちゅうてつ)/ 炭素鋼 |
||
アルミニウム | ||
亜鉛 | ||
マグネシウム | ||
低い | 高い(卑金属) | マンガン |
※電位差が大きいほど卑金属が腐食しやすくなります。
金属別ボールバルブのメリット・デメリット
電磁弁やボールバルブに使う継ぎ手は何が良いか?
上記の表の結果から、電磁弁は青銅製なのでニップルはステンレス製を使用し、黄銅製ボールバルブには青銅製ニップルを使います。(もしくは青銅製orステンレスボールバルブに切り替える)
ただし、土中に埋設する際は土壌の影響を受けるためステンレス×青銅でも腐食が進行する恐れがあるため、全てをステンレス製の部材に切り替えるか、塩ビ製のものにするのが良いでしょう。
全てステンレス製は部材が高くなるが耐食性が抜群なので数十年間設置して置けます。塩ビ製継ぎ手では破損の恐れがありますが、部材が安く済むのがメリットです。
あとは接合部をフランジや樹脂製ニップルにする方法もあります。
手順
- 塩ビ管を必要な長さに切ります。潅水設備を設置する場所に合わせて、適切な長さに切りましょう。
- 塩ビ管に必要な水道資材を接続します。必要な長さに切った塩ビ管に、エルボソケットやバルブソケット、チーズソケット、給水栓チーズソケット、メスネジホーセンド、コック付きジョイントニップル、継ぎ手六角ニップル、ボールバルブを接続します。接続する際は、専用の工具を使ってきちんと締め付けましょう。
- 潅水設備を設置します。塩ビ管に取り付けた水道資材を通して、水を供給するための給水栓に接続します。設置する場所によっては、台に固定する必要がある場合もあります。
- 水を供給します。潅水設備が完成したら、水道ホースを開いて水を供給しましょう。