- 台木の接木部に近い上部の芽は接木部の癒合をしやすいように、接ぎ木部から台木の芽まで約4~5cmに配置。
- 台木の下部の芽は発根をしやすいように、切り口の直ぐ近く1~2cmに配置。
- ただし台木の芽は発芽しないよう(発根するよう)に芽欠きをしている。
- 穂木は1芽で長さは約4cm。
- 接着は蝋(ロウ)または接ぎ木テープを使用する。
プロの苗木屋さんが育てたブドウの台木の分析
台木の長さ
ブドウの接木苗の台木の長さに注目しましょう。
台木の長さを計測すると約20cmの長さになります。
長さについてはブドウの接木の専門書にて、台木部分は約20〜25cmになるように調整して、穂木と台木を組み合わせると書いてありました。
おそらく、台木が発根するために枝に蓄積した養分を使うので、20cmほどの長さが必要なのだと思います。
台木は25cm程度とし、その先端側に切れ目を入れておき、
1 芽をもった栽培品種の穂木にもそれに対応する切れ目を入れてから、台木に差し込んで接ぐ(第 5 図)。
台木の芽の位置と芽の数
芽の数はパッと見で1芽しか見当たりませんが、実際は発根している部位に1つと、穂木と台木の接木部の近くに1つの合計2芽になります。
芽の部位には根っこや新梢を作る(分化する)組織があります。
ただし、芽をそのままにしておくと発芽して新梢が伸びてしまいます。
新梢が出てしまうと根っこが出にくくなってしまうので、芽欠きをして、台木の下部の芽からは発根をさせています。
穂木と台木の接木部のすぐ近くに芽がもう一つあります。
接木部から約4〜5cmほど離れた場所に芽がありますが、台木なのでそこも芽欠きがしてあります。
おそらく、接木部の近くに台木の芽を配置したのは、芽の部分に蓄積されている養分を接木部の癒合に回すためかなと推測しています。
そもそも芽は花や新梢、根っこなどを作る部分なので養分を蓄積している場所になります。
そこをうまく使って、接木部の癒合や発根を促して接木の成功率を上げているのだと思います。
台木の上部の芽を芽欠きをしている理由は、台木の芽から新梢が伸びると、穂木から出る新梢の成長を阻害してしまうからです。
メモ
- 台木の接木部に近い上部の芽は接木部の癒合をしやすいように、接ぎ木部から台木の芽まで約4~5cmに配置。
- 台木の下部の芽は発根をしやすいように、切り口の直ぐ近く1~2cmに配置。
- ただし台木の芽は発芽しないよう(発根するよう)に芽欠きをしている。
プロの苗木屋さんが育てたブドウの穂木の分析
穂木の長さ
穂木の長さを計測してみたら、かなり短い約4cmでした!
芽の数は1つだけで、台木より一回り太い枝です。
接木苗では接木部が土に埋もれるように植えて、電熱マットで加温します。
接ぎ木部を埋もれるようにすると穂木の芽は地面に近い位置にあるため、
熱が多少伝わりやすくなることから、発芽(萌芽)を促進させるためにあえて4cmと短い枝にしているのでは?と推測しました。
また、画像から穂木の枝がやや太く、台木が細く太さに差があっても問題ないことが分かりました。
ちなみに穂木の芽の位置は枝の上部に近いところにあります。
プロの苗木屋さんが育てたブドウの接木部の接着剤について
接木部にはロウ(蝋)が使われていました。
苗木屋さんのカタログを見たときに、接木部から上の穂木を蝋で固めていたのを思いだしました。
蝋の方が密着度はテープより高く、芽が萌芽しても簡単に突き破れるから使っているのだと思います。
しかし密着度が高い接ぎ木テープも販売されています。
上の接ぎ木テープ【メデール】は伸縮性があり、枝にピッタリと張り付くので接ぎ木に欠かせない道具の1つです。
ブドウの接ぎ木に限らず、どんな果樹にも使えるので必ずストックしています。
ブドウの接木に使うおすすめ道具の一覧
項目 | ひなたぼっこ 900HB-20 |
接ぎ木鋏 |
接ぎ木鋏 |
接ぎ木ナイフ |
メデール |
発根促進剤 |
ロックウール |
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備考 | ボトムヒートによる癒合・発根促進 | 台木と穂木をパズルのようにできる鋏 | 台木と穂木をパズルのようにできる鋏 | 切れ味抜群の接ぎ木ナイフ | 伸縮性が最高の接ぎ木テープ | 発根促進剤 | ロックウール |
プロの苗木屋さんが育てたブドウの苗木の分析|まとめ
- 台木の接木部に近い上部の芽は接木部の癒合をしやすいように、接ぎ木部から台木の芽まで約4~5cmに配置。
- 台木の下部の芽は発根をしやすいように、切り口の直ぐ近く1~2cmに配置。
- ただし台木の芽は発芽しないよう(発根するよう)に芽欠きをしている。
- 穂木は1芽で長さは約4cm。
- 接着は蝋(ロウ)または接ぎ木テープを使用する。
\ 電熱マット・ハウスが一体化した小型温室です/
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