
過去5年間フィンガーライムを栽培して、剪定の結果どうなったか?
その結果を踏まえて剪定方法と剪定時期はいつがベストかを振り返ります。
また、フィンガーライムは四季成り性(環境・気候による)をもつため、それに合わせた剪定方法を考えます。
- 実の付いてない枝は剪定せず、果実のついた枝を切る。
- 間引き剪定+伸ばしたい枝のみ切り戻し剪定が基本。
- 果実をつける結果枝は、昨年出た枝の先端+春枝・夏枝なので切り戻さない。
- 主枝や亜主枝など伸ばしたい枝は切り戻す。
- 剪定時期は蕾が出る直前の2月~3月頃


棘がささっても痛くないので収穫・剪定作業に必須です。

フィンガーライムの剪定方法を検証
剪定方法を二通りためした結果を記載します。
面白い結果になったので今後の剪定方法の参考になりました。
①枯れ枝のみを剪定した場合


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1剪定前
上の画像の、茶色くなっている枝が枯れている枝です。
その枝のみを剪定して、その後の生育がどうなるのかを検証しました。
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2剪定後の生育
枯れ枝のみを剪定しただけで、切り戻しや間引きはしていません。
そのため、新しい枝があまり出ず、成長も悪かったです。
また、フィンガーライムは昨年出た枝の先端に花芽をつけます。
切り戻しをしなかったので花はつけましたが、その後は結実せず、果実はほとんどつきませんでした。
この事から、枯れ枝を剪定するだけでは、その後の生育が悪くなることが分かりました。
剪定結果2019/5/5
- 切り戻しをしなかったので新梢があまり出ず伸びも悪かった。
- 花は多少ついたが、その後は果実をほとんどつけなかった。
②枝を強く切り戻し剪定をした場合


逆にこちらは主幹や側枝をかなり切り戻しをした結果です。
見て分かるように、青々とした新しい枝(春枝)が沢山出ています。
しかし、結果枝を切り戻したので花芽が無くなってしまい、果実が1つも実りませんでした。
①で最初に書いたように、フィンガーライムは昨年出た枝の先端に花をつけます。
結果枝を切り戻すことで、その花をつける枝を切ってしまったため、1つも実らなかったのです。
剪定結果2019/5/5
- 新梢の春枝が勢いよく出ている。
- 強く切り戻したので果実をつける枝(昨年の春・夏・秋枝)が無くなり、花をつけなかった。
- 花をつけなかったので果実数は0個。
フィンガーライムの基本的な剪定方法
フィンガーライムも柑橘類の1つに入ります。
柑橘類の剪定方法は
間引き剪定+切り戻し剪定
が基本となり、上の図のような剪定をします。
影になるような混み合う枝は間引き剪定をして、内向きの枝は影をつくるのでそれも剪定+下に垂れている枝も剪定します。
フィンガーライムは昨年伸びた枝の先端に花をつけるので、果実を実らせる枝=結果枝は切り戻しません。
ただし、伸ばしたい枝は、前年伸びた枝の先端を小~中くらい切り戻す剪定を行います。
切り戻すことで新しい枝がそこから出てくれるので、枝を伸ばすことができます。
この剪定方法は、主枝や亜主枝を作るために使うことが多いです。
メモ【剪定する枝】
- 混み合う枝は間引く
- 内向枝(内向きの枝)
- 下垂枝(下に垂れている枝)
- 主枝や亜主枝など伸ばしたい枝は切り戻す
- 結果枝は切り戻さない
整枝・剪定の六原則
- 弱剪定・間引き剪定が基本
- どの枝にも十分日光が当たること、
- 様々な作業が安全に・やりやすく効率が上がること、
- どの枝にも容易に防除薬液がかかることと、基本樹形を念頭に置く。
- 大枝→中枝→小枝の順に整枝・剪定を実施。
- 内向きの枝は剪定し、外向きの枝を残すようにする
結果枝(実をつける枝)について
果実をつける枝は、昨年に伸びた枝の先端になります。
なので、新しい枝を勢いよく伸ばしたい場合を除いて、昨年伸びた枝は切り戻さず、そのままにしておきます。
間引き剪定について
他の枝を影にしてしまうような枝を根元から間引く剪定方法を間引き剪定と言います。
これをすることで風通しと採光が良くなるので花芽がつきやすくなったり、病害虫につきにくくなります。
最初に説明した「枯れ枝を剪定するだけ」では光の当たり具合が足りないため、
間引き光を当てることで、結実した果実の生理落果を防ぐことが出来ます。
ココがポイント
- 間引き剪定をすることで、花芽がつきやすくなったり病害虫につきにくくなる。
- 光が当たることで生理落果を防ぐ効果がある。
切り戻し剪定について
柑橘類は新梢が春・夏・秋と3回伸びます。
それぞれに特徴があり、春・夏伸びる枝は花芽が付きやすく果実を実らせやすいのですが、秋に伸びる枝は花芽がつきにくいです。
なので上の画像のように結果枝の剪定は、花芽が少ない秋枝を夏枝の手前まで切り戻すことで、
花や果実をつけやすい夏枝・春枝を残しつつ、切り戻しすことで新梢が多少勢いよく出るように誘導しています。
切り戻し剪定は、主枝や亜主枝など枝を伸ばしたい場合に行います。
強く切り戻せばより伸びるので、樹勢を見ながら剪定をします。
ココがポイント
- 果実を実らせやすい春・夏枝を残しつつ、新梢を出させるのが目的。
- 主枝や亜主枝を伸ばしたい場合。
フィンガーライムの剪定時期・性質・開花時期


適切な剪定時期
フィンガーライムは寒さに弱いので1月中は剪定をしません。
気温が低い状態で剪定すると枝が枯れこんでしまいます。
上の画像はハウス内に設置しているウェザーステーション ネタトモで計測した気温です。
1月中は最高気温が7.4℃しかない日もありますが、2月に入ると最高気温が26℃の日も出てきます。
気温が安定してくる、2月上旬〜3月上旬(開花直前)の間に剪定をするのがベストです。
ただ注意点として剪定時期は栽培環境によって変わります。
暖かい地域ほど早く蕾をもつので、環境に合わせて剪定しましょう。
四季成り性・開花時期
フィンガーライムは四季成り性を持つので、2月~5月頃に開花しますが、7月~10月にも開花することがあります。
開花と収穫時期
- 2月~5月に開花→収穫は8月~10月
- 7月~10月にも開花→収穫は12月~1月
また、フィンガーライムは単為結果性になります。
単為結果性とは、受粉をしなくても実をつける性質を言います。
ココがポイント
- 開花直前に剪定する
- 切り戻し剪定をすると出る新梢が、来年の結果枝候補になる
新梢の伸びる時期
フィンガーライムは新梢が伸びる時期が3回あります。
春・夏・秋の3回新梢が伸びて、それぞれに特徴があるので剪定の時は注意しましょう。
枝の種類
- 【春枝】5月~6月頃に新梢が伸びる:花芽がつきやすい
- 【夏枝】6月下旬~7月下旬頃に再度新梢が伸びる:花芽がつきやすい
- 【秋枝】8月上旬~9月頃に再度新梢が伸びる:花芽が少ない
フィンガーライムの剪定に使うおすすめ道具
トゲ対策の手袋
刺専用の手袋で剪定をしています。
フィンガーライムの刺は小さく鋭く、数が多いので剪定作業にかかせません。
上の手袋が無いと刺さって痛いです。
トゲがささらないのかを検証した動画
剪定ばさみ
小型で小回りが効くライオンの剪定ハサミです。
ハサミの先端がとがっていて細い枝が切りやすいので柑橘農家オススメの剪定鋏です。
フィンガーライムは特に枝は細いので、このハサミはオススメです。
ライオン製なので切れ味も抜群です。
フィンガーライムの剪定方法・時期を画像で解説|まとめ
- 剪定は2月上旬~3月上旬(開花直前)の間に行う
- 実の付いてない枝は剪定せず、果実のついた枝を切る。
- 間引き剪定+切り戻し剪定が基本
- 果実をつける結果枝は昨年出た枝なので切り戻さない
- 枝が混み合わないように、根元から切る間引き剪定を基本とする
- 枯れた枝は除去する。
- 1本主幹(主枝)を基本として、そこから亜主枝を出させるが数本に絞りそれ以外は切り落とす。
- 亜主枝や伸ばしたい枝は強めに切り戻して新梢を出させる。

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