
過去3年間フィンガーライムを栽培して、剪定の結果どうなったか?
その結果を踏まえて剪定方法と剪定時期はいつがベストかを振り返ります。
また、フィンガーライムは四季成り性(環境・気候による)をもつため、それに合わせた剪定方法を考えます。
先に結論!
- 間引き剪定+弱めの切り戻し剪定が基本
- 果実をつける結果枝は昨年出た春枝・夏枝なので強く切り戻さない。
- 剪定時期は蕾が出る直前の3月頃
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フィンガーライムの栽培·育て方を解説【原産国と日本の環境を比較して分かったこと】

フィンガーライムの剪定方法を変えた結果

面白い結果になったので今後の剪定方法の参考になりました。
切り戻しはせず枯れ枝のみを剪定した場合



枯れ枝のみを剪定しただけで、切り戻しや間引きはしていません。
剪定結果2019/5/5
- 切り戻しをしなかったので新梢があまり出ず伸びも悪かった
- 花は多少ついたが、その後は果実をほとんどつけなかった。
枝を強く切り戻し剪定をした場合



剪定結果2019/5/5
- 新梢の春枝が勢いよく出ている。
- 強く切り戻したので果実をつける枝(昨年の春・夏・秋枝)が無くなり、花をつけなかった。
- 花をつけなかったので果実数は0個
柑橘類の基本的な剪定方法

剪定前

剪定後
フィンガーライムも柑橘類の1つに入ります。
柑橘類の剪定方法は
間引き剪定+弱めの切り戻し剪定
が基本となり、上の図のような剪定をします。
影になるような混み合う枝は間引き剪定をして、内向きの枝は影をつくるのでそれも剪定。下に垂れている枝も剪定します。
そして果実をつけたい枝は、前年伸びた枝の先端を少し切り戻す弱剪定を行います。
剪定する枝
- 混み合う枝は間引く。
- 内向枝(内向きの枝)
- 下垂枝(下に垂れている枝)
- 果実を実らせる枝は弱剪定
整枝・剪定の六原則
- 弱剪定・間引き剪定が基本
- どの枝にも十分日光が当たること、
- 様々な作業が安全に・やりやすく効率が上がること、
- どの枝にも容易に防除薬液がかかることと、基本樹形を念頭に置く。
- 大枝→中枝→小枝の順に整枝・剪定を実施。
- 内向きの枝は剪定し、外向きの枝を残すようにする
間引き剪定とは?

他の枝を影にしてしまうような枝を根元から間引く剪定方法を間引き剪定と言います。
これをすることで風通しと採光が良くなるので花芽がつきやすくなったり、病害虫につきにくくなります。
画像のオレンジ色の線が間引く箇所です。
ココがポイント
- 間引き剪定をすることで、花芽がつきやすくなったり病害虫につきにくくなる。
切り戻し弱剪定とは?

柑橘類は新梢が春・夏・秋と3回伸びます。
それぞれに特徴があり、春・夏伸びる枝は花芽が付きやすく果実を実らせやすいのですが、秋に伸びる枝は花芽がつきにくいです。
なので上の画像のように結果枝の剪定は、花芽が少ない秋枝を夏枝の手前まで切り戻すことで、
花や果実をつけやすい夏枝・春枝を残しつつ、切り戻しすことで新梢が多少勢いよく出るように誘導しています。
枯れ枝のみ剪定し、まったく切り戻さないと最初に紹介したように、新梢が全くでなくなってしまいます。
ココがポイント
- 果実を実らせやすい春・夏枝を残しつつ、新梢を出させるのが目的
参考

はなとやさい,p43 2011/02
フィンガーライムの性質と適切な剪定時期

フィンガーライムは四季成りの性質

4月1日
フィンガーライムは四季成り性を持つので、4月~5月頃に開花しますが、7月~10月にも開花することがあります。
- 4月~5月頃に開花→収穫は8月~10月
- 7月~10月にも開花→収穫は12月頃
また、単為結果性になります。
ココがポイント
- なので昨年伸びた枝に果実をつける前提で、果実をつけたい枝は弱剪定にしましょう。
- 逆に強い新梢を出したい場合は強く切り戻して、秋果をつけるようにします。
フィンガーライムの新梢の伸びる時期
新梢が伸びる時期は3回あります。
枝の種類
- 【春枝】5月~6月頃に新梢が伸びる:花芽がつきやすい
- 【夏枝】6月下旬~7月下旬頃に再度新梢が伸びる:花芽がつきやすい
- 【秋枝】8月上旬~9月頃に再度新梢が伸びる:花芽が少ない

5月5日 春枝

6月27日 夏枝

7月26日 秋枝
フィンガーライムの剪定の時期
寒さに弱いので2月中は剪定をしません。理由は、これ以上早く剪定すると枯れ込みやすくなるためです。
暖かくなる3月中旬〜4月上旬(開花直前)の間に剪定をするのがベストです。
ただ注意点として剪定時期は栽培環境によって変わります。暖かい地域ほど早く蕾をもつので、環境に合わせて剪定しましょう。
フィンガーライムの剪定時のトゲ対策のおすすめ手袋
刺専用の手袋で剪定をしています。
フィンガーライムの刺は小さく鋭く、数が多いので剪定作業にかかせません。
上の手袋が無いと刺さって痛いです。

フィンガーライムの剪定にオススメの剪定ばさみ
小型で小回りが効くライオンの剪定ハサミです。
ハサミの先端がとがっていて細い枝が切りやすいので柑橘農家オススメの剪定鋏です。
フィンガーライムは特に枝は細いので、このハサミはオススメです。
ライオン製なので切れ味も抜群です。
まとめ【結果や性質を踏まえた剪定方法】

簡潔に言うと、主幹の切り戻しは10~15cmにしておく。
新梢を出させるために側枝などの切り戻しをするが果実をつける枝なので弱めに切り戻す。
ただし伸ばしたいところは強めに切り戻す。
チェックリスト
- 剪定は3中旬~4月上旬(開花直前)の間に行う
- 間引き剪定+弱めの切り戻し剪定が基本
- 果実をつける結果枝は昨年出た春枝・夏枝なので強く切り戻さない。
- 秋枝のみ弱めに切り戻す。
- 枝が混み合わないように、根元から切る間引き剪定を基本とする
- 側枝(結果枝=前年の伸びた枝)の切り戻しは弱剪定を基本として果実をつける枝とする
- 枯れた枝は除去する。
- 1本主幹(主枝)を基本として、そこから亜主枝を出させるが数本に絞りそれ以外は切り落とす。
- 亜主枝や伸ばしたい枝は強めに切り戻して新梢を出させる。
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