挿し木は適切な時期に適切な方法で行わないと、発根率が低くなり失敗してしまいます。
ですがルートンと言った発根促進剤を併用することで成功率を上げることができます。
先に結論!
- 挿し木は露地栽培の場合は4月以降に行う
- 挿し木の前日に穂木を吸水させておく
- 穂木の向きに注意する
- 3芽中、1芽は地上に出して2芽は削って地中に入れて発根させる。
- 苗床に挿したあとは殺菌剤のベンレート水和剤を散布する。
- 温床は【ひなたぼっこ900 HB-20】がおすすめ。25~28℃を維持する。
- 切り口には発根促進剤(ルートン)を塗布すると発根し易くなる。
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【ブドウの挿し木から1ヶ月後】発根の様子と発根後の温度・湿度管理
ブドウの挿し木(さし木)とは?
挿し木とは同じ個体(クローン)を殖やす技術になります。
ブドウやブルーベリーなどの枝を切って専用の土にさして丁寧に管理することで発根して、増殖させることができます。
挿し木のメリットは接ぎ木に比べて簡単に殖やすことができる点です。
しかしデメリットは親株(親となる木)がウイルスに罹患していると、子(親から取った枝)もウイルスにかかっているので、親株がウイルスや病気にかかっていない健康な親株を用意する必要があります。
ちょっとした小話
挿し木は同じ個体(クローン)を殖やす技術と言いましたが、枝の箇所(例えば根元に近いところや、主枝の先端だとか)によって挿し木で殖やした個体は性質が若干異なります。
特にブドウにこの変異が顕著に出るので、親の性質(着色・肥大・成長)と違う個体になりやすく、いわゆるハズレ個体(着色が悪かったりする)が出てきます。
なのでブドウの苗を購入するときは10本買ったら1本当たり(着色・肥大が良い木)があれば良いと、ブドウ農家の間では言われています。
ブドウの穂木の採取と挿し木の時期
ブドウの穂木の採取時期と挿し木の時期に注意しましょう。
遅かったり早かったりすると枝が衰弱したり、寒さで芽が枯れたりします。
ブドウの穂木の採取時期
穂木は11月から12月の間に採取して冷蔵庫で保存しときましょう。
1から2月は厳寒期のため、穂木の水分状態があまり良くないためです。
保存方法は採取した穂木をビニール袋に入れて密閉して保存するか、新聞紙でくるんで乾燥しないようにします。
このとき、水はかけないようにしましょう。水をかけるとカビが発生する可能性があるので水がかからないようにします。
ブドウの挿し木の時期
露地では気温が上がってくる3月頃に行いますが、寒冷地では晩霜害が起こる可能性があるので4月頃がオススメです。
ハウス内での温床で穂木の成長を促進させる場合は、2月頃に挿し木を行うことで早めに発芽させて1年で大きな苗を育てることができます。
また、挿し木の適切な気温を測るためにウェザーステーションをハウスに設置しています。
ハウス内の気温が安定したのを確認した後、挿し木をするのがオススメです。
ココがポイント
- ブドウの穂木の採取は11月~12月、ビニール袋か新聞紙で包んで冷蔵庫で保管する。
- ハウス内での温床での挿し木ならば2月頃に行う。
- 露地での挿し木ならば4月頃に行う。
ブドウの挿し木の準備(前日まで)
ブドウの挿し木の事前準備の注意点を画像を交えて解説します。
準備の手順
ブドウの穂木に吸水させる
挿し木をする前日までに、採取した穂木は一昼夜水に浸けて、水分を吸わせておきます。
穂木は中の水分がカラカラの状態です。そこで吸水させることで萌芽ができる状態にもっていきます。
また、吸水させても穂木が枯れて死んでいる場合があります。
その判断ポイントは以下の画像で紹介します。
ブドウの生きている穂木の選別・判断方法
枯れている穂木を挿し木をしても発根しないので注意しましょう。
ブドウの枯れている穂木
一昼夜吸水させても上のように切り口が茶色のままの枝は枯れてしまっています。
このような枝は死んでいるので破棄しましょう。
ブドウの生きている穂木
吸水させると生きている穂木は切り口が緑色をしています。
このような穂木を挿し木につかいます。
ブドウの挿し木の苗床(用土)の準備
挿し木の用土は、ピートモスと鹿沼土を1対1の割合で混ぜたものを使用しました。
事前にたっぷりと水分を含ませておきます。
用土は中粒の赤玉土のみでも良いですが、水はけが良いので土が乾かないように注意しましょう。
もしくはバーミキュライトとピートモスを1対1の割合で混ぜたものでも良いです。
ココがポイント
- 挿し木の前に一昼夜吸水させる
- 吸水後、穂木の選別をする
- 挿し木の前に、苗床に灌水して吸水させておく
ブドウの挿し木の実践(当日)
ブドウの穂木の調整【上下の向きに注意する】
今回は芽を地中に1つだけ埋める 一芽挿しをしました。
穂木の長さは15~25cmほどにします。また、芽の上下の向きには注意しましょう。
芽が上向きが枝の上部になります。逆さまに挿し木をしないように注意しましょう。
ブドウの芽欠きと発根促進剤を塗布
挿し穂の先端は斜めに切り、地中に入れる箇所の芽は切り落としときます。
穂木の下部を斜めに切るときは切れ味の鋭い接ぎ木ナイフを使いましょう。
切れ味が鋭いと切断面がデコボコせず癒合(カルス化)し易いのが理由です。
また、二芽挿しの場合は一番上の芽以外を落とします。
その後、発根促進剤のルートンの粉を先端に塗布して挿し木床にさします。
この時、ルートンは塗りすぎず挿し床に挿す時は指で穂木を固めるように挿します。
また、上部の切り口にはトップジンMペーストなどを塗布して雑菌の侵入や乾燥を防止します。
ブドウの穂木の苗床への挿し方
上の画像のように穂木の切り落とした芽が地中にしっかりと隠れるように、周りの土を固めるように苗床に挿します。
そうすることで潅水しても土が緩くなりにくく、穂木が倒れることがなくなります。
挿し床に挿した後は、4月以降の露地栽培であればそのまま外に放置で構いません。
極度に乾燥や過湿にならなければ、ブドウの挿し木の成功率は接ぎ木に比べて高いので、そのままで問題ありません。
ブドウの挿し木をした後は殺菌剤を散布する
ブドウの穂木を苗床に挿した後は殺菌剤のベンレート水和剤を散布します。
殺菌剤を散布することで土の中や穂木についている雑菌を殺菌することができ、切り口から病気の侵入を防ぐことができます。
特にハウス内での温床栽培では過湿状態になるので雑菌が繁殖しやすい環境なので、カビや雑菌の繁殖を防ぐためにも定期的な殺菌剤の散布が重要です。
温床でブドウの発根を促進する場合
温床を設置して加温する場合は、挿し穂の底部が25~ 28℃程度になるように加温します。
30℃ 以上になると発根には有害であるので注意しましょう。
農電電子サーモでは設定温度を30℃~28℃にしておきます。
根付近への実際の温度はそれより低下するので30℃でも問題ありません。
温床で使った道具はノーデン園芸マット、農電電子サーモ 100V、ビニールシートです。
私は針金など組み合わせ温床を作りましたが、ノーデン園芸マットの上に下のような簡易的なビニール温室をのせるだけの方が簡単に温床を作成できます。
また可能であれば最初は、光を反射するタイベックシートやスノーテックス、ラブシートなどを上にかけるのをオススメします。
光を反射する=シートの下を暗くする理由は、発根するにはカルスを形成してから発根するプロセスをたどるからです。
そのカルスを形成するには暗い方が形成しやすいので、遮光する必要があるからです。
温床、サーモ、ビニール温室の全てがひとまとめになった【ひなたぼっこ900 HB-20】があれば簡単に温床ハウスが完成するのでおすすめです。
ココがポイント
- 穂木の長さは15~25cmほどで地中にいれる部分は芽欠きをする。
- 芽が上向きが枝の上部になる。
- 下の切り口には発根促進剤、上部にはトップジンペーストを塗布する。
- 挿し床に挿すときは穂木の周りをしっかり固める。
- 露地栽培なら4月以降に挿し木をする。ハウス内温床なら2月頃すると大苗をつくれる。
- 温床は【ひなたぼっこ900 HB-20】がおすすめ。25~28℃を維持する。
あわせて読みたい
ブドウの挿し木に使用した道具
発根促進剤
切り口の保護剤
接ぎ木ナイフ
育苗箱
培養土
ノーデン園芸マット
農電電子サーモ100V
おすすめ
参考図書
ブドウの挿し木の方法【まとめ】
チェックリスト
- 挿し木は露地栽培の場合は4月以降に行う
- 挿し木の前日に穂木を吸水させておく
- 穂木の向きに注意する
- 3芽中、1芽は地上に出して2芽は削って地中に入れて発根させる。
- 苗床に挿したあとは殺菌剤のベンレート水和剤を散布する。
- 温床は【ひなたぼっこ900 HB-20】がおすすめ。25~28℃を維持する。
- 切り口には発根促進剤(ルートン)を塗布すると発根し易くなる。
\ ハウス・温床・温度設定機が一体化したおすすめ道具です/
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