ブドウの摘粒時間が大幅に短縮できる摘粒方法『果房先端切除法』について解説します。
初心者からプロまでにおすすめする摘粒方法です。
- ブドウの摘粒の時に先端の1段を切除して内向きの粒を摘粒する。
- 軸長は8cmにする。
- 摘粒の時期は通常の摘粒と同じ6月上旬~下旬。
- 多少房型は乱れるが許容範囲。
- 粒数は計算しなくて良いので、摘粒時間が大幅に減る。
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ブドウの果房先端切除法について
ブドウの摘粒の時に先端の1段を切除し、その上の内向きの果粒を摘粒する方法になります。
ですが、先端の1段上の内向きの果粒の摘粒だけでは果粒が肥大したときに混み合ってしまうため、当園では・最上段は下向きと内向き ・中段は上向きと下向き ・下段は上向きを摘粒しました。
具体的な方法は後述しています。
ブドウの果房先端を切除で粒が肥大する?
開花初期の花穂切りつめは、切りつめの程度が長いほど果房や果軸を重くする傾向にあった。
花穂の時期に先端を1~2cm切除することで果房を重くすることが可能です。ただし、花穂期に切除すると房型が乱れるのが問題でした。
おそらくですが、果房先端切除法は本摘粒の時期に果房の先端を切除することで房型の乱れを抑制し、ある程度果房を肥大させるのが目的なんじゃないかと思います。
仮説
- 花穂期に先端を切除⇒果房重↑(中UP) 、房型↓(乱れやすい)
- 摘粒期に先端を切除⇒果房重↑(小UP) 、房型→(普通もしくは、やや乱れる)
あくまで上のは私の仮説なので、果房先端切除法の詳細の論文・文献がもしあれば是非拝見したいですね。摘粒期の先端切除が房型と果房重、粒重にどう影響しているか知りたいです。
ブドウの果房先端切除法の仕方・手順
ブドウの本摘粒の時期
果房先端切除法は本摘粒と同じ時期に行います。
本摘粒を行う時期はおおよそ、2回目のジベ処理の前後の6月上旬~下旬からスタートします。
あまりに早いと未熟な粒との見分けがつきにくかったり、残した粒が未熟な場合ポロッと脱粒するので、ある程度成熟した頃の小豆くらいのサイズになった時に行います。
軸長を8cmに調節する
軸長を8cmに調節します。8cmより上の段は切り落とします。
軸長が8cmより長いと房にまとまりが無くなってしまいスカスカになってしまいます。なので、軸長は8cmに統一します。
先端の1段を切除する
最下段(先端)の1段を切除します。これは下段の粒を肥大させる効果があります。詳細は後述しています。
上中下段を摘粒する
上段は下向きと内向きの摘粒を、中段は上向き・下向き・内向きを摘粒する。下段は上向き・内向きの粒を摘粒します。
摘粒する粒は通常の方法と同じですが、明確に違うのは粒数を計算する必要が無いことです。
粒数をチマチマと数えること無く、上向き・内向きの粒をひたすら摘粒するだけなので摘粒が格段に早く終わります。
収穫時期のブドウ
上の画像が果房先端切除法をした収穫期のブドウです。
底が少し空いていますが房型は悪くはありません。粒同士も密着しているので脱粒の心配もありません。
なので、摘粒時間を考えると果房先端切除法は良い選択肢だと思います。
ブドウの通常の摘粒方法
藤稔やブラックビート、ピオーネなどの大粒種の摘粒方法です。
1段ごとに残す粒数も正確に行う必要があります。
基準
- 軸長:7~8cm(8cmが基準)
- 軸長8cmで平均11~12段(生育により変動有り)
- 合計粒数:35粒
軸長を7~8cmにすることで、段数が平均11~12段になります。
最上段から、4粒が3段、3粒が6段、2粒が2段、そして最下段は1粒にすると合計で35粒になります。
このように合計12段35粒にすることで、綺麗な房型になるのです。
この理由から段数を調整すれば摘粒がし易くなるので、一番最初に8cmより上の方の段は切り落とします。
詳しい摘粒方法についてはこちら
果房先端切除法と通常の摘粒の比較
- 粒数は数えない
- 摘粒の早さ・楽さ:(4/5)
- 収穫時の房型:(3.5/5)
- 初心者向け:(4/5)
- 粒数を数える
- 摘粒の早さ・楽さ:(2/5)
- 収穫時の房型:(4.5/5)
- 初心者向け:(2/5)
ブドウの摘粒はさみ
極細刃ブドウ鋏
先丸そり刃ブドウ鋏
先丸そり刃ブドウ鋏
ピンセット付ブドウ鋏
ピンセット付ブドウ鋏
ブドウの果房先端切除法|まとめ・参考資料
- ブドウの摘粒の時に先端の1段を切除して内向きの粒を摘粒する。
- 軸長は8cmにする。
- 摘粒の時期は通常の摘粒と同じ6月上旬~下旬。
- 多少房型は乱れるが許容範囲。
- 粒数は計算しなくて良いので、摘粒時間が大幅に減る。
参考資料
\ ブドウ栽培が図解で分かる本/
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