畑の潅水設備が井戸水をポンプで給水している場合や、雨水を使っている場合、水圧がとても高く水道管が破損する恐れがあります。
水圧が高いと起きるデメリットは他にもあります。自動潅水機(タイマー)や電磁弁の破損です。表面上は問題無くても内部のパッキンや止水弁が高水圧で壊れてしまいます。潅水タイマーに繋いでいるホースも耐圧が0.7MPaまでのものが多いので、これもまた裂けたりなどの破損に繋がります。
雨水の蛇口に自動潅水タイマーを取り付けしたときには、ホースが切れて、畑に行かなかったときだったので水が出っぱなしでビチャビチャでした。。。
そこで水圧を下げる道具である『減圧弁』を使います。
\水圧を下げる道具/
一般的な水道の水圧と井戸水や雨水の水圧
一般的な水道の水圧が0.15~0.4MPaです。
対して雨水を使っていたり、ポンプで直接給水している場合だとその3倍以上の1.2MPa以上になってしまいます。
その時使っている水道(蛇口が複数設置してある場合など)が複数あるならば1.2MPa以下になりますが、一カ所しか使っていないと水圧が高くなるので注意しましょう。
ちなみに一般的な水道の蛇口の口径は13(G1/2)、雨水などの水圧が高いところの蛇口の口径は20(G3/4)です。
水圧が高いと起きるデメリット
水圧が高いと起きるデメリットを記載します。簡潔に言うと『いろいろ壊れます』。
水圧が高いと壊れる部品
- ホースが裂ける。 (おおよそ最大耐圧力0.7MPaまで)
- 自動潅水タイマーの内部が破損する。 (おおよそ最大耐圧力0.7~1.0MPaまで)
- 電磁弁の内部が破損して水漏れが起きる。(おおよそ最大耐圧力1.0MPaまで)
- ディスクフィルター(スクリーンフィルター)が破損して水漏れする。 (おおよそ最大耐圧力0.7MPaまで)
- 配管に使っている塩ビ管が破損する。(上農水道埋設用・建築給水用のVP塩ビ管は最大耐圧力1.0MPaまで。設計圧力(静水圧+水撃圧))
例えば上のホースの耐圧は0.7MPaまでです。水圧が高い場合はホースが裂けたり、ホースバンド の付け根から水が漏れたりします。※ちなみにホースバンドの使用可能水圧も0.7MPa。
また、セフティー3 SAW-2 自動散水機も耐水圧が0.78MPaまでなので水圧が高いと壊れます。(耐水圧は取説に記載)
よって、雨水や井戸水ポンプでは1.2MPaを超える水圧が発生するため破損の確率が大きくなります。
では潅水設備が壊れるのを防ぐために水圧を下げるにはどうしたら良いのでしょうか?
水圧を下げる道具『減圧弁』について
減圧弁はその名の通り、圧力を減らす道具になります。
減圧弁を通すと、一次圧力(1.0MPa~1.6MPa)を二次圧力(設定した圧力。0.05~0.7Mpa)へ減圧することができます。
これにより電磁弁(潅水タイマーなど)やホースの破損を防げます。
ストレーナー付きでゴミを捕獲します。ここで水抜きも可能なので冬の時期に凍結破損を防ぎます。
また、二次圧力の調整も可能です。標準圧力は0.2MPaですが変更もできます。
ヨシタケ 減圧弁の二次圧力の調整方法
項目 | 水圧 |
---|---|
時計回り | 減少(マイナス) |
反時計回り | 増加(プラス) |
ナットを外して、時計回りにすると水圧を下げます。逆に反時計回りにすると水圧を上げられます。
二次圧力の調整範囲は必ず規定の範囲内におさめます。0.25MPaまでなら必ず上限は0.25Mpaまでにします。それ以上にしてしまうと故障の原因になるので注意しましょう。
水圧の確認方法
また、エバーフローを設置した際に二次圧力の水圧が弱かったので水圧を上げましたが、圧力計を使わないと正確に計測できません。その場合、私は以下の圧力計を使いました。
上のは圧力計とブッシングバルブ、金属製ネジニップルをシールテープで組み合わせたものです。これを使えば二次圧力の水圧を計測できます。
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畑・果樹園で使うオススメの減圧弁
一次圧力が最大1.0MPaまでの減圧弁
ヨシタケ 戸別給水用減圧弁 GD-15-20A
一次側圧力が最大1.0MPaまで使えます。二次側圧力を0.05~0.25MPa(標準設定0.2MPa)まで減圧できるのでホースや電磁弁の破損を防げる一般的な減圧弁です。
呼び径(A) | 3/4(20) |
---|---|
呼び径(B) | 3/4(20) |
一次側圧力 | 0.1~1.0MPa |
二次側圧力 | 0.05~0.25MPa(標準設定0.2MPa) |
使用温度 | 5~60℃ |
弁前後の最小差圧(Mpa) | 0.03 |
最小調整可能流量 | 0.5L/min |
定格流量 | 30L/min(差圧0.1MPa以上の場合は50L/min) |
適用流体 | 水道水 |
取付姿勢 | 水平・垂直 |
ストレーナ | 40メッシュ |
戸別給水用減圧弁(水・温水用) 弁慶 RD44N-FHPL2-20A
一次側圧力が最大1.0MPaまで使えます。二次側圧力を0.11~0.23MPa(標準設定0.2MPa)まで減圧できるのでホースや電磁弁の破損を防げる一般的な減圧弁です。
呼び径(A) | 3/4(20) |
---|---|
呼び径(B) | 3/4(20) |
端接続 入口ねじ接続種類 | [G(ユニオン)] G1ねじ |
端接続 出口ねじ接続種類 | [G(ユニオン)] G1ねじ |
一次側圧力 | 1.0MPa以下 |
二次側圧力 | 0.11~0.23MPa(標準設定0.2MPa) |
使用温度 | 5~90℃ |
弁前後の最小差圧(Mpa) | 0.02 |
最小調整可能流量 | 0.5L/min |
定格流量 | 50L/min(差圧0.1MPa以上) |
適用流体 | 水道水・温水 |
取付姿勢 | 水平・垂直 自由(ストレーナキャップ上向き除く) |
ストレーナ | 60メッシュ |
一次圧力が最大1.6MPaまでの減圧弁
ヨシタケ 冷温水減圧弁 GD-28-NE-20A
一次側圧力が最大1.6MPaまで使えます。二次側圧力を0.05~0.7MPa(A/Bで異なるので注意)まで減圧できます。一次圧力が高い場合に使う減圧弁です。
呼び径(A) | 3/4(20) |
---|---|
呼び径(B) | 3/4(20) |
一次側圧力 | 0.1~1.6MPa |
二次側圧力 | A:0.05~0.35MPa B:0.30~0.70MPa |
使用温度 | 5~90℃ |
弁前後の最小差圧(Mpa) | 0.05 |
最小調整可能流量 | - |
定格流量 | - |
適用流体 | 冷温水 |
取付姿勢 | 水平・垂直 |
ストレーナ | 40メッシュ |
減圧弁へのネジの取り付けについて
減圧弁は金属の雌ネジなのでネジ部分が金属の部品を取り付けます。片方がプラ素材だと、ねじ込みの時に負けてしまい水漏れの原因にもなります。
また、金属同士ではシールテープを巻く回数は4回ほどで、塩ビ管素材同士では10回ほど巻きます。金属同士では巻きすぎるとネジが入っていかないのと、塩ビ管素材では巻く回数が少ないと水漏れが起きるからです。
ネジを締め込む際はモーターレンチと万力があると便利です。万力で固定しつつモーターレンチでガッチリとねじ込めます。※締め過ぎ注意
まとめ
このように減圧弁を使うことで潅水設備が壊れるのを防いでくれます。
だいたいの設備の耐水圧が0.7MPaなので水圧が高いポンプで給水している畑や、雨水を使っている場合は減圧弁を設置しましょう。
\水圧を下げる道具/