ブドウの栽培

ブドウの根接ぎ(ねつぎ)|根っこを使った接ぎ木方法を画像で解説

2022年4月2日

ブドウの根接ぎ(ねつぎ)|根っこを使った接ぎ木方法を画像で解説 217

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ブドウの根接ぎを画像付きで解説します。穂木に直接ブドウの根っこを接ぎ木する方法です。根を直接、穂木に接ぐので発根がし易いのが特徴です。

根っこを掘り出すのが大変ですが、接ぎ木後の管理が楽なのが特徴です。

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ブドウの根接ぎ(ねつぎ)とは?

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穂木にブドウの根っこ(台木から取った)を接ぎ木する方法です。

メリットは根を接ぎ木するので発根に時間がかからないので、接ぎ木部の癒合がしやすくなります。デメリットは穂木のサイズの根っこを掘り出すのに時間がかかる+けっこう掘り上げるのが大変な点です。

 

ブドウの穂木と根っこの採取時期

ブドウの穂木の採取時期と根っこの採取時期は若干異なります。

 

ブドウの穂木の採取時期

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穂木は11月から12月の間に採取して冷蔵庫で保存しときましょう。1~2月は厳寒期のため、穂木の水分状態があまり良くないためです。

保存方法は採取した穂木をビニール袋に入れて密閉して保存するか、新聞紙でくるんで乾燥しないようにします。このとき、水はかけないようにしましょう。水をかけるとカビが発生する可能性があるので水がかからないようにします。

また、ビニール袋は冷蔵にいれても結露しにくいタイプのしっかりした袋にします。

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下のが枝の保管用として使用している袋になります。厚みが0.025mm、耐冷温度が-30℃で冷蔵庫内での長期間保管に適しています。

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ただし、剪定前であれば水が上がる前かつ接ぎ木時期である3月中旬ころに穂木を採取するのも有りです。水が上がってくる3月下旬ころでは遅いので注意しましょう。(神奈川県において)

 

ブドウの根っこの採取時期

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根接ぎをする当日に採取します。根っこは果樹園のブドウの木から3~5m離れたところを無作為に掘って、ちょうど良い太さの根っこが見つかるまで頑張ります。

または果樹ポットで栽培してきた台木品種の根っこを使うのもOKです。ポットから外すだけなのでこちらの方が簡単でした。※結構な年数、栽培していないと根っこは太く無いので注意。

藤稔やシャインマスカットなどの台木はだいたいテレキ5BBです。台木は調べてみると奥深いので、自分の圃場に合う台木をおすすめします。

 

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上のはブドウ畑から直接、根っこを採取した様子です。

 

ブドウの根接ぎ(ねつぎ)の時期

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水が上がる前の3月中旬頃に行います。上の画像のように3月下旬頃になるとブドウが休眠期から活動期へと移行し、根っこが水を吸い上げて枝から水が滴るようになります。

その頃の根っこを掘り出すと水分でビシャビシャなので、接ぎ木をしても萎れやすくなり、接ぎ木が失敗しやすくなります。

なので水が上がる前に接ぎ木を行います。ただし、接ぎ木時期が早すぎても寒さで失敗しやすくなるので、その場合は温床ハウスを使います。

 

ブドウの根接ぎ(ねつぎ)の方法

ブドウの穂木を一昼夜吸水させる

穂木の吸水

接ぎ木をする前日までに、採取した穂木は一昼夜水に浸けて、水分を吸わせておきます。穂木は中の水分がカラカラの状態です。そこで吸水させることで萌芽ができる状態にもっていきます。

 

ブドウの根っこの採取

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採取した根っこはよく水で洗って汚れをとります。汚れがついていると根接ぎ時に刃が入っていかないからです。

また、採取した根っこの太さに近い穂木を選びます。穂木と根っこの太さが異なると「活着しにくくなる=失敗の確率が高まる」ので、注意しましょう。

 

ブドウの根接ぎの苗床(培養土)の準備

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育苗トレーに土を目一杯入れて水をかけて鎮圧しときます。

通常の播種の場合はウォーターエリアをつくりますが、それだとトレーにいれた土の深さが5cmほどにしかならないため、土が浅くて接ぎ穂が倒伏する可能性があります。

それを防ぐため目一杯に土を入れます(目一杯入れると約8cmほど)。土は市販の赤玉土(小粒・中粒)やバーミキュライトが排水の面で適しています。水が適度に抜けないと根っこが腐ってしまうので。(根接ぎの成功例、失敗例で比較できます)

使った道具

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ブドウの生きている枝の選別・判断方法

  • 枯れている穂木
    枯れている枝
  • 生きている穂木
    生きている枝

枝に吸水させたら次は枝の選別をします。長い期間保冷庫で保管されていたので完全に枯れてしまう枝もでてきます。

吸水させても緑色にならない枝は死んでいるので、枝の中が緑色のものだけを穂木に使いましょう。

 

ブドウの穂木と根っこの調整

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まず穂木の上下に注意しましょう。芽とその下の窪みを正面にして芽を上にします。これを逆に根接ぎしてしまうと新梢が伸びる方向が逆方向にいってしまうので注意しましょう。

 

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穂木は5~7cmに調節して1芽残しにします。2芽以上では発芽の養分が足りなくなってしまうので、1芽にして発芽し易くさせます。また、芽の下は接ぎ木の切れ込みを入れる関係で4cm以上残しておきます。

育苗トレーの深さが約8cmなので根っこの部分は6~7cmに調節します。接ぎ木部は土に隠れないように露出させますが根の部分はしっかり土にさし込みます。

根っこは細根がついていても、無くてもどちらでも問題ありません。

 

接ぎ木鋏で穂木と根っこのパズルをつくる

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接ぎ木ばさみで穂木と根っこをパズル状に切ります。そのとき凸側を根っこ、凹側を穂木にすると接ぎ木テープが巻きやすかったです。

根接ぎする際は穂木と根っこが同じ太さ(近い太さ)になるようにします。同じサイズだと形成層が合致するので活着しやすくなるからです。

 

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切るときは枝や根の中心に刃が来るようにして、一気に刃をいれると切り口が綺麗になります。

 

接ぎ木テープを巻く

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接ぎ木部を接ぎ木テープを伸ばしながらしっかり巻きます。しっかり巻かないとグラついて取れてしまうので何重にも巻きましょう。

 

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あと、穂木の切り口にも接ぎ木テープを巻いて切り口の蒸散を防ぎ萎れを防ぎます。切り口から水分が出て行くと枝が萎れて枯れてしまうので注意しましょう。

また、緑枝接ぎをする場合は全体に接ぎ木テープを巻いて蒸散を防ぎます。(根接ぎには関係ありませんが)

使った道具

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苗床に接ぎ穂をさす

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根っこの下部を斜めに切ってから苗床にさします。斜めに切ることで苗床に挿しやすくなり、断面積が広いので発根しやすくなります。

挿すときは接ぎ木部が出るように挿します。接ぎ木部が地中にあると挿し穂から発根してしまいます。

苗床に挿してからは梅雨の時期までは朝8:00に10分間の自動潅水に設定しています。水をあげすぎると根腐れしてしまうので注意しましょう。

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ブドウの根接ぎをしてから2ヶ月後|成功例と失敗例

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    根接ぎ成功例
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    根接ぎ失敗例

根接ぎから約2ヶ月後の穂木の状態です。左側が根接ぎが成功した例で、根っこから細根が出ています。右側が過湿により根っこ部分が腐ってしまい、根接ぎが失敗した例です。

やはり培養土は赤玉土(小粒・中粒)やバーミキュライトなど、ある程度排水性がある土が接ぎ木には良さそうです。右側の培養土は排水性が足らず、過湿により根腐れが起きてしまいました。

 

ブドウの根接ぎ(ねつぎ)方法「まとめ」

ブドウの根接ぎのまとめ
  1. 接ぎ木は3月中旬頃に行う。
  2. 接ぎ木の前日に穂木を吸水させておき、根っこは当日掘り出します。
  3. 接ぎ木部と穂木の切り口には接ぎ木テープをしっかり巻く。
  4. 培養土はある程度排水性が良い赤玉土(小粒・中粒)やバーミキュライトを使用する。
以上がブドウの根接ぎの手順です。細かいポイントがいくつかありますが、ぜひ実践してみてください!
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