ブドウのジベレリン処理(通称ジベ処理)は通年で1回だけ行う1回処理と2回処理をする2つの方法があります。
1回処理は慣行の2回処理に比べて房の重さがやや軽い傾向がありますが、ジベ処理が1回で済むのが魅力です。
この記事ではジベレリン1回処理(GA1回処理)の時期と濃度を解説します。
ブドウのジベレリン1回処理の時期
ジベレリン処理1回処理の時期 | 満開3~5日後 |
---|---|
ジベレリンの濃度 | 25ppm |
フルメットの濃度 | 10ppm |
品種 | 藤稔、シャインマスカット 等 |
上記の表はシャインマスカットや藤稔などのブドウのジベ処理の時期(1回目)の早見表です。
他の品種や詳細については下記の一覧表を確認してください。
ブドウ別のジベレリン1回処理の時期と濃度の一覧表
1回浸漬処理(種無し栽培)一覧表です。下記の表にはジベレリン1回処理時期と処理濃度および目的も品種別に記載しています。
系統 | 品種名 | 目的 | 1回目の処理時期 | 処理濃度 |
---|---|---|---|---|
2倍体欧州系品種 | 瀬戸ジャイアンツ ロザキ マリオ ロザリオビアンコ マスカットオブアレキサンドリア シャインマスカット ルビーオクヤマ クイーンルージュ ルビーオクヤマ 甲斐路 カッタクルガン シャルドネ ネオマスカット 紅環 ベニピッテロ マニキュアフィンガー リザマート クイーンセブン 甲州 等 |
果粒肥大の促進 種無し化 |
満開から3~5日後 (落花期) |
ジベレリン25ppm (25mg/L) フルメット10ppm (10mg/L) |
4倍体巨峰系品種 | 巨峰 藤稔 ピオーネ 安芸クイーン 翠峰 ゴルビー シナノスマイル さがみ 竜宝 ハイベリー 紅義 高妻 サニールージュ ルビーロマン クイーンニーナ ハニービーナス 等 ※あづましずく除く |
果粒肥大の促進 種無し化 |
満開から3~5日後 (落花期) |
ジベレリン25ppm (25mg/L) フルメット10ppm (10mg/L) |
1回処理はジベレリン25ppm+フルメット10ppmで処理するのが基本です。2Lのペットボトルに対してジベレリン50mgを1袋とフルメットを2本(20ml)を入れます。
ブドウの満開から3~5日後の画像
ブドウの満開から3~5日後 (落花期) |
5月下旬~6月上旬 |
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上の画像が満開から3~5日後の様子です。キャップが上から下まで全て外れて雌しべが全て出た状態を満開時と呼び、そこから3~5日後の状態です。
子房径がおおよそ3~4mmの頃を狙ってジベ処理を行います。なかなかこれが難しく、満開5日後の処理になってしまうと着粒がいまいちになってしまうケースがあります。
満開3日後を見計らって行うには各品種の適切な子房径と、新梢についている房ごとの開花状況を観察しなければなりません。
ブドウのジベレリン溶液の作り方
用意するもの | 処理濃度 | 入れる量 |
---|---|---|
2ℓのペットボトル | - | 2L(水) |
ジベレリン粉末 | 25ppm | 50mg(1包) |
フルメット液剤 | 10ppm | 20ml(2本) |
ジベレリン液剤の作り方|希釈表
ジベレリン50mg含有の小スティック1包当たりの希釈表 単位 ppm(mg/L)
ジベレリン濃度 | 1ppm | 5ppm | 10ppm | 12.5ppm | 25ppm | 50ppm | 100ppm |
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水量 | 50L | 10L | 5L | 4L | 2L | 1L | 0.5L |
希釈倍率 | 100,000倍 | 20,000倍 | 10,000倍 | - | 4,000倍 | 2,000倍 | 1,000倍 |
小スティックには50mgのジベレリンが入っています。5ppmにしたいなら10Lに1包いれます。25ppmにしたいなら2Lに1包といった具合です。
ジベレリンには錠剤や量の多い大スティックタイプもあります。その場合のジベレリン含有量が異なりますので、「ジベレリン含有量÷処理したいジベレリン濃度=水量(L)」の計算式ではじき出せます。
ペットボトルに半分くらいの水を入れて、そこにジベレリン(フルメットやアグレプトを添加する時は一緒に入れる)を入れた後に2Lに調整します。2Lに調整したら蓋を閉めてしっかり攪拌しましょう。
フルメット液剤の作り方|希釈表
フルメット液剤(cppu0.10%含有)10ml当たりの希釈表 単位 ppm(mg/L)
cppu濃度 | 1ppm | 2ppm | 3ppm | 5ppm | 10ppm |
---|---|---|---|---|---|
水量 | 10L | 5L | 3.3L | 2L | 1L |
希釈倍率 | 1000倍 | 500倍 | 333倍 | 200倍 | 100倍 |
フルメットは開封したら使い切るようにしましょう。2Lのペットボトルで調剤する場合、10ppmにする場合は2本(20ml)入れます。
GA(ジベレリン)1回処理はこのフルメットが着粒と肥大の2つの効果を担っているので、1滴も無駄にしないように瓶も共洗いをして残った液もしっかり入れましょう。
作った溶液の保存方法と使用期限
作った溶液は可能ならその日に使い切るのが良いですが、花穂ごとに開花時期がずれているので冷蔵庫で保存するのも可能です。
もちろん一回使った溶液は残ってしまったら土に吸わせて廃棄します。使っていない溶液は誤飲しないようにちゃんと目印をつけて冷蔵庫で1週間程度なら持ちます。
ただしジベレリンなどの説明書には使い切るように書いてあるので、あくまでも自己責任の範疇なので気をつけましょう。
ブドウのジベレリン処理の仕方
手に溶液がつかないようにゴム手袋などをしてジベ処理をします。ブドウの房が一番上までしっかり浸かるようにカップの中に入れて数秒待ちます。
一番上まで浸かるようにするのがポイントで、浸かっていない所があるとそこだけ種有りになってしまいます。浸け残しが無いようにしましょう。
カップを引き抜いたら房についている雫を指でトントンと揺らして落とします。雫が残っているとレンズ効果で日焼けしてしまうので注意しましょう。
ジベレリン容器(カップ)について
ブドウのジベレリン処理に使うカップはジベレリンを買うときに付いてくる専用の容器(サイズは小~大)を使います。
浸漬処理用のカップのサイズは小~特大とあり、1発処理では房がやや大きくなっているので小~大の容器を使います。
この専用カップはお店でジベレリンと一緒に販売していたり、通販だと購入時にオプション扱いになっているので一言連絡が必要だったりするので注意しましょう。
無い場合は市販のプラスチックカップ(ビール飲むときとかに使う奴)でも代用できます。
また、らくらくカップ2というジベ処理専用の道具がありますが、ジベ処理の2回目に使用するのがお勧めです。
1回目にカップサイズ小のらくらくカップ2でジベ処理しましたが、1回目に関しては普通のカップの方が確実&やりやすかったです。
ブドウのジベ処理時の天気および時間帯
天気 | 晴れ/曇り |
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ジベ処理の時間帯 | 8時以降※房が朝露などで濡れていない(乾いている)時間帯 |
天気は晴れか曇りが良いです。ジベ処理はどうしても梅雨の時期にぶち当たるのでなんとか晴れた日に行います。
またジベ処理後に雨が降ってしまうとやり直しになる場合があるので(降雨量による)、丸一日雨が降らない日を選びます。
ただし日射しが強すぎると上の画像のようにジベ処理後に日焼けをしてしまうので、曇りの日が良いです。
ジベレリン1回処理後に雨が降った場合の対処法
ジベ処理の再処理の基準 | ジベ処理後8時間経過する前に連続5mmの雨が降った場合 |
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処理したジベレリン溶液を十分に果粒内へ浸透させるために80%程度と高めにする。
ジベレリン溶液の果粒内への浸透は、処理後8〜10時間が大切であるので、処理直前から湿度には注意する。
処理したジベレリンが内部に浸透するには湿度が80%以上で8時間経過する必要があります。
ジベ処理時期は梅雨の時期なので湿度はほぼ問題ないため、経過時間がポイントになってきます。
ジベ処理作業が16時に終わったら8時間後の24時までに降らなければOK。(降ったとしても小雨程度なら問題なし)
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