果樹園に設置するのに適したエバフロー種類と設置方法を説明します。エバフローの純正品一覧や自作パーツの作り方、ポット育苗の際の部品類の紹介や、設置方法をメインに解説します。
エバーフローの種類について
エバーフローには何個か種類がありますが当園で使っているのはエバーフローA型とS型です。
散水方法が異なるので用途別に使っています。
エバフローA型
用途 | 一般噴霧(株周りや苗トレーの潅水など) |
---|---|
散水孔列数 | 8 |
散水孔間隔 (mm) |
25 |
均一散水性 (m) |
70 |
散水幅 (m) |
1.2~2.8 |
適正散水量 (ℓ/m・分) |
0.2~0.5 |
最高使用圧力 (Mpa) |
0.1 |
巻数 (m) |
100 |
当園ではジョイント栽培の株周りに設置して潅水したり、エバーフローを吊って苗木やポットの育苗の時に使用しています。
また、エバーフローを設置した両側に稲の苗をおいて育苗の際の潅水としても有効です。
エバフローA型の潅水動画
A型は土全体に水がかかるような場合に使用しています。JV苗の育成は斜立仕立てで栽培します。
斜立仕立てではポットを斜めにして隙間を土で埋めるため、全体に水がかからないと乾燥してしまい苗の伸びが悪くなります。
なので全体に水がかかるA型のエバーフローを使っています。
エバーフローS型
用途 | 根元噴霧 |
---|---|
散水孔列数 | 2 |
散水孔間隔 (mm) |
25 |
均一散水性 (m) |
70 |
散水幅 (m) |
1.0~3.2 |
適正散水量 (ℓ/m・分) |
0.2~0.5 |
最高使用圧力 (Mpa) |
0.1 |
巻数 (m) |
100 |
エバーフローS型の潅水動画
S型はポットの土だけに水をかけるような場合に使用しています。
A型では広い範囲に潅水しますがポット育苗の場合はポット内の土だけに水がかかれば良いので、潅水範囲が狭く節水もかねたS型を使っています。
防草シートは設置していますがポットの外にも水がかかってしまうと雑草が生える原因になり、除草作業が増えてしまうので潅水範囲を絞っています。
ただ目詰まりを起こした際に潅水量が減る恐れがあったので、ポットへの潅水も今ではA型に変えています。
キリコAⅢ
用途 | 一般噴霧 |
---|---|
散水孔列数 | 8 |
散水孔間隔 (mm) |
25 |
均一散水性 (m) |
100 |
散水幅 (m) |
1.8~4.0 |
適正散水量 (ℓ/m・分) |
0.6~1.1 |
最高使用圧力 (Mpa) |
0.1 |
巻数 (m) |
100 200 |
エバーフロートは異なり厚手の潅水チューブになりますが、野菜や花、水稲などの育苗の際に広域散布の時に力を発揮できそうです。
収納がし易く扱いやすいのはエバーフローなので迷うところですね。
キリコR
用途 | 露地・広域噴霧 |
---|---|
散水孔列数 | 12 |
散水孔間隔 (mm) |
40 |
均一散水性 (m) |
100 |
散水幅 (m) |
5.4~10.0 |
適正散水量 (ℓ/m・分) |
1.5~2.6 |
最高使用圧力 (Mpa) |
0.2 |
巻数 (m) |
100 |
かなり広域に散布できる散水チューブです。水の散布量もかなり多いので水稲の育苗にかなり良さそうです。
特に野菜苗生産している場合、一気に散水できるので潅水が簡易化できます。
エバフローの純正パーツ一覧
エバーフローの取り付け方
エバフローでは専用の取り付けパーツがありますが、手元にある水道管資材を使えば専用部品を使わなくてもOKです。
エバーフローの取り付けパーツの作り方を紹介します。
①用意する道具
②塩ビカッターとパイプリーマーで塩ビ管を調整
VP13の塩ビ管を約10cmほどの長さに切って、パイプリーマーで面取りします。パイプリーマーでしっかり面取りしないと、バルブソケットやエバーフロー、水道ホースに差し込みにくくなるので、しっかり面取りしましょう。
また、エンビカッターは大は小を兼ねるので、可能ならば大きいサイズ(VP50まで切れる)ものを用意しときます。
今回はVP13と小さい塩ビ管を使いましたが、農業用水ではVP40やVP50を加工するときがあるので持っておいて損は無いです。
③バルブソケットに蛇口コネクターを取り付け
バルブソケットに蛇口コネクターG1/2(13)を取り付けます。蛇口コネクターにはパッキンが付いているので、基本的にはシールテープを雄ネジに巻く必要はありません。
蛇口コネクター以外にも給水栓ソケットに取り付けられる G1/2オスネジコネクター などがあります。
給水栓ソケットに取り付けるときはネジ部分をシールテープで巻く必要があるので注意しましょう。シールテープではなく、給水栓ソケットの方にジョイントパッキンをつけるのでもOKです。
あと、VP13(1/2)↔20(3/4)へ変更したいときはブッシング(F×M)1/2×3/4で調整します。
④エバフローに取り付ける
面取りした塩ビ管をバルブソケットに取り付けます。その際は塩ビパイプ用A 接着剤を塩ビ管(外側)とバルブソケット(内側)両方に塗って取り付けます。バルブソケットなど中はテーパー状になっているので、押し込んでから30秒間保持をするとズレなく接着できます。
後で分解する予定なら接着剤の代わりに水溶性ローションを塗ることで、後日分解できるのでオススメです。抜ける恐れがあるならビニールテープで固定します。
エバーフローに塩ビ管を差し込む時は、中にフィルターがあるのでその下に塩ビ管をいれます。散水孔(表側)はエバーフローの文字がある方です。文字のある面>フィルター>塩ビ管の順番になるようにします。
塩ビ管を差し込む長さは5cm位にしておきます。また、塩ビ管を入れる前に先にホースバンドを入れておきましょう。後でエバーフローが水圧で抜けないように固定するためです。
ホースバンドは六角レンチやモンキーレンチで締められるタイプが長く使えます。プラスチックの取っ手があるタイプは長く使っていると劣化し割れてしまうからです。
エバーフローを差し込んだらビニールテープを巻いて、ホースバンドを締めて固定します。
完成したら次は設置方法です。
エバーフローの使い方・設置方法
木の株周りにそのまま潅水するならば、エバーフローの先端を固結び×2回して、1mごとに杭(少し浮かす)を打って動かないようにすれば完成します。
下記の設置方法は果樹の大苗生産(ポット)をするときの方法です
棚線を張る道具
単管パイプにテンションクランプとひっかけクランプを取り付けて線を張ります。ラチェットやレンチで簡単に固定&線を張れるのでオススメです。
エバーフローの向きについて
エバーフローは水が出る面は文字がある方なので、設置向きを下向きにしています。下向きに設置することで水が葉っぱにかかるのを防いでいます。
理由は防除(農薬散布)をする日だった場合、散布前に葉が濡れていると効果が薄れてしまうのと、散布後の乾く前に自動潅水が作動して葉に水がかかってしまったら農薬が落ちてしまい効果が無くなってしまうからです。
自動潅水を一時的に停止すれば良いのですが、手間がかかるのと、うっかり潅水装置を切ったままにしてしまう可能性を排除したかったからです。
なので下向きに設置しています。
設置する高さ
ポットのサイズによりますが、高さ約60cmと70cmのところに二本針金を設置します。針金でミストエース20ハンガー<A>を挟んでエバーフローを差し込んで吊り下げます。
エバーフローの出入り口の部品
「エバーフローの取り付け方」で作った部品でも十分に対応できます。むしろ水道ホースを繋げられるのでいろんな箇所に設置し易いです。
出口は止水パーツや固結び×2回をすれば十分止水が可能です。
エバーフローA型で水稲の苗の潅水動画
上の動画のように地面に設置すれば苗の潅水にも使えます。
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