種有りブドウでも果粒肥大の促進のためにジベレリンを使う場合もあります。ジベレリンは主に開花期に使うと種なし化をしますが、開花後の10日以降に使うと粒を大きくする効果があります。
注意したいのはジベレリンにはすでに出来てしまった種を消す効果は無いので開花10日後には粒の中にすでに種が出来ている状況なので、種は消えません。
逆に考えると種無しブドウ栽培はジベレリンの処理時期を間違えると種有りブドウになってしまうのです。(たまに種があるのは処理時期が遅かったり、雨によりジベレリンが流されて効果が十分に発揮しなかったためです。)
生育ステージによってジベレリンの作用が違うので、栽培方法を間違わないようにしましょう。
種有りブドウのジベレリン処理の時期
ジベレリン処理の時期 | 満開から約10~20日後 |
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ジベレリンの濃度 | 25ppm |
品種 | 巨峰、甲斐路 等 |
上記の表はシャインマスカットや藤稔などのブドウのジベ処理の時期(1回目)の早見表です。
他の品種や詳細については下記の一覧表を確認してください。
種有りブドウのジベレリン処理の時期と濃度の一覧表
種有りブドウ栽培のジベ処理の一覧表です。
系統 | 品種名 | 目的 | 処理時期 | 処理濃度 |
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2倍体米国系品種 | マスカットベリーA ナイアガラ アーリースチューベン キャンベル スチューベン 等 ※キャンベルアーリー除く |
果粒肥大の促進 | 満開から約10~15日後 | ジベレリン50ppm (50mg/L) |
果粒肥大の促進 | 満開から約15~20日後 | フルメット5~10ppm (5~10mg/L) |
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2倍体欧州系品種 | 瀬戸ジャイアンツ ロザキ マリオ ロザリオビアンコ シャインマスカット ルビーオクヤマ クイーンルージュ ルビーオクヤマ 甲斐路 カッタクルガン シャルドネ ネオマスカット 紅環 ベニピッテロ マニキュアフィンガー リザマート クイーンセブン 甲州 等 ※ヒロハンブルグ除く |
果粒肥大の促進 | 満開から約10~20日後 | ジベレリン25ppm (25mg/L) |
マスカットオブアレキサンドリア除く | 果粒肥大の促進 | 満開から約15~20日後 | フルメット5~10ppm (5~10mg/L) |
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4倍体巨峰系品種 | 巨峰 さがみ ルビーロマン ハニービーナス 等 |
果粒肥大の促進 | 満開から約10~20日後 | ジベレリン25ppm (25mg/L) |
果粒肥大の促進 | 満開から約15~20日後 | フルメット5~10ppm (5~10mg/L) |
種有りブドウの満開から約10~20日後の時期と画像
ブドウの満開から約10~20日後の時期 | 6月上中旬~ |
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種有りブドウは樹勢が安定していないと花振るい(はなぶるい)といって、着粒しないケースがでてきます。種無し栽培と違って粒が下に下がるのが特徴です。
ブドウのジベレリン溶液の作り方
用意するもの | 処理濃度 | 入れる量 |
---|---|---|
2ℓのペットボトル | - | 2L(水) |
ジベレリン粉末 | 25ppm | 50mg(1包) |
ジベレリン液剤の作り方|希釈表
ジベレリン50mg含有の小スティック1包当たりの希釈表 単位 ppm(mg/L)
ジベレリン濃度 | 1ppm | 5ppm | 10ppm | 12.5ppm | 25ppm | 50ppm | 100ppm |
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水量 | 50L | 10L | 5L | 4L | 2L | 1L | 0.5L |
希釈倍率 | 100,000倍 | 20,000倍 | 10,000倍 | - | 4,000倍 | 2,000倍 | 1,000倍 |
小スティックには50mgのジベレリンが入っています。5ppmにしたいなら10Lに1包いれます。25ppmにしたいなら2Lに1包といった具合です。
ジベレリンには錠剤や量の多い大スティックタイプもあります。その場合のジベレリン含有量が異なりますので、「ジベレリン含有量÷処理したいジベレリン濃度=水量(L)」の計算式ではじき出せます。
ペットボトルに半分くらいの水を入れて、そこにジベレリン(フルメットやアグレプトを添加する時は一緒に入れる)を入れた後に2Lに調整します。2Lに調整したら蓋を閉めてしっかり攪拌しましょう。
フルメット液剤の作り方|希釈表
フルメット液剤(cppu0.10%含有)10ml当たりの希釈表 単位 ppm(mg/L)
cppu濃度 | 1ppm | 2ppm | 3ppm | 5ppm | 10ppm |
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水量 | 10L | 5L | 3.3L | 2L | 1L |
希釈倍率 | 1000倍 | 500倍 | 333倍 | 200倍 | 100倍 |
フルメットは開封したら使い切るようにしましょう。2Lのペットボトルで調剤する場合、5ppmにしたいならフルメット液剤を1本入れます。10ppmにしたいなら2本入れます。
計算がやや面倒なので2Lのペットボトルに1本(10ml)入れると5ppmになることを基準に計算すれば分かりやすいと思います。
着粒目的なら作成したジベレリン溶液にフルメットを添加すればいいので、ジベレリンと一緒に入れましょう。
作った溶液の保存方法と使用期限
作った溶液は可能ならその日に使い切るのが良いですが、品種ごとに開花時期がずれているので冷蔵庫で保存するのも可能です。
もちろん一回使った溶液は残ってしまったら土に吸わせて廃棄します。使っていない溶液は誤飲しないようにちゃんと目印をつけて冷蔵庫で1週間程度なら持ちます。
ただしジベレリンなどの説明書には使い切るように書いてあるので、あくまでも自己責任の範疇なので気をつけましょう。
ブドウのジベレリン処理の仕方
手に溶液がつかないようにゴム手袋などをしてジベ処理をします。ブドウの房が一番上までしっかり浸かるようにカップの中に入れて数秒待ちます。
一番上まで浸かるようにするのがポイントで、浸かっていない所があると肥大促進の効果が劣るので浸け残しが無いようにしましょう。
カップを引き抜いたら房についている雫を指でトントンと揺らして落とします。雫が残っているとレンズ効果で日焼けしてしまうので注意しましょう。
らくらくカップ2を使う時は2~3回上下にカップを動かします。
ジベレリン容器(カップ)について
ブドウのジベレリン処理に使うカップはジベレリンを買うときに付いてくる専用の容器(サイズは大~特大)を使います。
浸漬処理用のカップのサイズは小~特大とあり、小は満開時の花穂に使用するサイズで、大~特大は2回目のジベ処理の時や種有りブドウの肥大促進に使用します。藤稔などの大房では2回目の時に使うカップは特大サイズがオススメです。
この専用カップはお店でジベレリンと一緒に販売していたり、通販だと購入時にオプション扱いになっているので一言連絡が必要だったりするので注意しましょう。
また、らくらくカップ2というジベ処理専用の道具がありますが、ジベ処理の2回目に使用するのがお勧めです(サイズは特大)
作業速度が段違いに速くなります。2人で各1台もっていれば、人数を増やさなくても十分です。
ブドウのジベ処理時の天気および時間帯
天気 | 晴れ/曇り |
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ジベ処理の時間帯 | 8時以降※房が朝露などで濡れていない(乾いている)時間帯 |
天気は晴れか曇りが良いです。ジベ処理はどうしても梅雨の時期にぶち当たるのでなんとか晴れた日に行います。
またジベ処理後に雨が降ってしまうとやり直しになる場合があるので(降雨量による)、丸一日雨が降らない日を選びます。
ただし日射しが強すぎると上の画像のようにジベ処理後に日焼けをしてしまうので、曇りの日が良いです。
ジベレリン処理後に雨が降った場合の対処法
種有りブドウのジベ処理の再処理についての資料が見つからなかったため、種無しブドウの2回処理時期の基準を元に記載します。
ジベ処理の再処理の基準 | ①ジベ処理後1~2時間未満後に10mm以上の雨 ②ジベ処理後2~3時間未満後に20mm以上の雨 ②ジベ処理後3時間以降に30mm以上の雨 |
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ジベ処理の2回目では「処理液乾固後(ジベ処理して乾いた後)、1時間経過していれば降雨量10mmまでは、2時間経過していれば20mmまでは、3時間経過していれば30mmまでは再処理は不要となります。」
ジベ処理をして乾いてから1時間経過して雨が降った場合、降雨量が10mm以上の時は再処理する。
ジベ処理をして乾いてから2時間経過して雨が降った場合、降雨量が20mm以上の時は再処理する。
ジベ処理をして乾いてから3時間経過して雨が降った場合、降雨量が30mm以上の時は再処理する。
ジベ処理作業が16時に終わったら3時間後の19時までに降らなければOK(降ったとしても小雨程度なら問題なし)。雨が降らない日を狙って行いますので、そうそう3時間後に降雨量30mmは降らないと思います。
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