ブドウの新梢を誘引するときのポイントと稔枝(ねんし)のやり方を解説します。動画でも解説しています。
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ブドウの新梢誘引と稔枝の動画
ブドウの新梢誘引の時期
ブドウの誘引の時期 | 4月下旬~5月中旬まで(房作り開始まで) |
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ブドウの新梢誘引の時期は4月下旬~5月中旬までに行います。ただし、地域によってはGW中は毎年強風が吹きますので、誘引後にボキボキ折れていることもあります。
そのため、強風が収まるGW明けに誘引をする場合もありますので、地域の気候を確認しましょう。
ブドウの稔枝(ねんし)の時期
ブドウの稔枝の時期 | 4月下旬~5月上中旬まで(房作り開始まで) |
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また、5月中旬頃になると新梢が硬くなってきますので、稔枝がしにくくなってきます。
稔枝は新梢が柔らかいときでないと、ボキッと折れやすくなるのでGW明けの1週間以内に終わらせるのが理想です。
ブドウの新梢が折れやすい品種
新梢が折れやすい品種 | 藤稔 |
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折れやすさが中間の品種 | ピオーネ 巨峰 安芸クイーン |
新梢が折れにくい品種 | シャインマスカット クイーンニーナ |
誘引をしていると根元からボキッと折れることがあります。特に藤稔が折れやすく、何度も折れるとその分収穫量が減るので心も折れてきます。
新梢が折れやすい品種は冬の剪定時にあえて枝数を多くして、5月の新梢誘引の時に犠牲が出ても問題無いようにするのも1つの手段です。
シャインマスカットが一番折れにくいので安心して誘引ができます。
枝が折れた(芽が欠けた)所からは芽が出ない
ブドウの場合は新梢が根元から折れてしまうと、そこからは基本的に枝が出てきません。※枝の途中で折れた場合は副梢が伸びてきて復活します。
まれに副梢が出てくることがありますが、貧弱な芽なのでまともな新梢にはならず、冬の寒さで枯れてしまうことが多いです。
上の画像は新梢が欠けてしまった箇所です。こうなってしまったら、他の部分の新梢を欠けた場所に誘引をして埋めるしかありません。
欠損は収穫量に直結しますので、折れないように誘引するのがとても重要です。
ブドウの稔枝をする枝・しない枝
稔枝をする新梢 | 太くしっかりした新梢 |
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稔枝をしない新梢 | 細く短い新梢 |
稔枝をして良い新梢は太くしっかりとした新梢のみにしましょう。細かったり、短い新梢を稔枝してしまうと稔枝部分が癒合しにくく、新梢の伸びが悪くなってしまいます。
なので、細かったり短い新梢は稔枝をせずに誘引しましょう。可能なら全ての新梢は稔枝をせずに誘引したいところです。
ブドウの房の着生位置
房の着生位置 | 品種 |
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2~4節目 | 藤稔、シャインマスカット、安芸クイーン、クイーンニーナ 巨峰、ピオーネ |
4~7節目 | ハイベリー |
ブドウの新梢の房の着生位置は品種毎に異なります。
多くのブドウでは2~4節目の位置に房がつきますが、ハイベリーでは4~7節目につくので、誘引初期の時期では房が1つも無いと勘違いをしてしまいます。
そのため、確実に房付きの新梢を誘引するには誘引時期を少し後ろにずらす必要があります。
ブドウの稔枝と誘引のポイントを解説
誘引と稔枝のポイント | 理由 |
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房が棚下にくるように誘引/稔枝をする | 棚下に房がくることでジベ処理や房作りがしやすくなる |
第一花穂または房型が良い方を誘引する | 第一花穂の方が生育が良好な傾向があるが、房型が良い方が秀品率UPに繋がる |
15cm以下の細く短い新梢は不要であれば芽欠きする | しっかりした新梢と養分が競合してしまう/影になる |
1~2/2~3節目を指で押さえて節の間をねじる (時計回り、反時計回りどちらでも可) |
節の部分は硬く割れやすいので、節の間を稔枝する |
20~30cm間隔に新梢を誘引する(短梢仕立て) | 間隔が狭すぎると病気になりやすい |
空いたところにパズルのように誘引する(長梢仕立て) | 収穫量を上げるため欠損部をカバーできる |
1カ所から2本新梢が出ている場合、1本にする | 養分の競合を防ぐため |
新梢を誘引する間隔
仕立て方 | 新梢の誘引間隔 |
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短梢栽培 | 20~30cmごと |
長梢栽培 | 空いたところを埋めるように誘引する |
短梢仕立ては20~30cm間隔に新梢を誘引します。間隔が狭すぎると風通しが悪かったり、農薬がかかりづらくなるので間隔をあけます。
長梢仕立ては空間をパズルで埋めるように誘引していきます。空間が広いですが、あまり枝と枝が密植になりそうなところは枝を間引きましょう。
直上気味の新梢を稔枝する
上のような新梢が真上に出ているような直上の新梢は必ず稔枝をします。
稔枝をせずに棚にうまく誘引できても時間が経ったあとに折れているパターンが多いからです。
逆に稔枝をせずに済む枝は稔枝しない方がその後の生育が良いです。
節と節の中間をねじる
新梢の1節目と2節目(または2節目と3節目)を指で押さえながらゆっくりと節と節の真ん中をねじります。
ねじった箇所は直に癒合するので問題ありません。
このときに、房が棚下になるように誘引します。房が棚より上(直上)になってしまうとその後の摘粒やジベ処理がやりにくくなるからです。
房は第一花穂(1つ目の房)または形の良い方にする
上のように2つ以上房がある場合は第一花穂(1つ目の房)を優先的に棚下にするか、1つ目の房の形が悪ければ2つめ以降の房を棚下にくるように誘引します。
第一花穂の方が最初にできるので、その後の生育が良くなり結果として良い房になりやすいからです。
一カ所から2本新梢が出ている場合
新梢が一カ所から2本出ている場合、樹勢が良い+房がついている新梢を残して、もう片方は取り除きます。
特に短梢栽培の場合は冬に根元に近い方まで切り戻すので、その時に根本付近から出ている新梢が弱々しいと冬の寒さで結果母枝が枯れてしまいます。
そのため樹勢が良い、太めでしっかりとした新梢を残すのです。
他にも短梢樹形の誘引や、この時期から行う摘心で粒を肥大させる方法などの記事も紹介しています。
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