梨の栽培

梨の誘引作業・方法を解説|紐の結び方の画像と動画

2018年1月16日

梨の誘引作業・方法を解説|紐の結び方の画像と動画 219

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梨の枝の誘引方向について

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誘引方向 ①主枝先端に近い枝ほど先端方向へ誘引
②根元に近い枝ほど根元方向へ誘引

梨の枝の誘引方向は、主枝(亜主枝)の先端に近いほど、主枝の先端方向に誘引します。逆に根元に近い枝ほど、主枝とは逆方向に誘引します。全体を見ると扇状に誘引する形です。

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先端の枝ほど養分が届きにくいため、主枝の流れに沿うことで養分を届きやすくします。

逆に根元に近い枝ほど養分が届きやすく太くなりやすいので、それを妨げるために主枝の流れとは逆方向に誘引するのです。

ただし、ジョイント栽培では異なり、ジョイント栽培では主枝に対して枝の位置は関係なく全て垂直に誘引をします。

 

根元に近い枝を先端方向に誘引した場合

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根元に近い側枝を先端方向に誘引したため、養分の流れに沿い(さらに根元に近いので)養分をドンドン吸って太くなってしまった側枝です。

こうならないように、反対方向へ誘引します。

 

梨の枝の種類別の誘引について

主枝・亜主枝の誘引

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誘引角度  0°(水平)
紐を結ぶ箇所 ①起伏があるところ
②3~5マスごと

主枝や亜主枝の誘引角度は基本的に棚にべったりの0°です。棚から浮いていたり、逆に沈んでいたりすることは全て水平になるように誘引します。

起伏があるとそこから徒長枝が出たり、養分がそこに溜まりやすくなって新梢がそこに集中して出てしまい、そこ以降は枝が出にくくなったりします。

また、起伏があるところ以外は3~5マス間隔で棚に結んで置けば台風などの強風でも揺れにくくなるのもポイントです。

あまり結びすぎても意味がないので、ほどよく誘引しましょう。

 

結果枝の誘引

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    1年目の結果枝
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    2年目以降の結果枝
枝の長さ 100~150cm
誘引角度 0°(水平)
紐を結ぶ箇所 ①枝の根元付近
②中央付近
③枝の先端付近

結果枝は棚にベッタリと0°に誘引します。ポイントは枝の根元から先端まで全て水平に誘引することです。

枝の高さに起伏があると、そこから出る新梢の勢いが強くなってしまい、枝のバランスが崩れてしまうので注意しましょう。

紐を結ぶ箇所は先端と根元付近と中央あたりの3~4カ所です。とにかく枝に起伏が出ないように誘引するのがポイントです。

 

弓なり枝の誘引

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誘引角度 0°(水平)
紐を結ぶ箇所 先端

枝の先端が3~5cmほど棚下に出るように誘引します。

枝の先端の花芽だけに果実をつけさせるので、このような弓なり型に誘引します。花芽が少ない枝の緊急処置とする誘引方法です。

紐を結ぶ箇所は先端の1カ所で十分です。

 

予備枝の誘引

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枝の長さ 15~20cm(太さによって変える)
短い枝の誘引角度 45°
紐を結ぶ箇所 ①枝の根元付近
②枝の中央~先端より

15cm~20cmほどの短い予備枝の誘引角度は45°です。先端の芽から出る新梢をしっかり出させたい&花芽もつけたいので、やや高い角度45°がポイントです。

これを90°にしてしまうと、徒長枝になりやすくなるので葉芽が多くなってしまいます。

逆に0°に近いと先端の芽から出る新梢の樹勢が弱くなってしまい、ヒョロヒョロの結果枝だったり、根元から強い新梢がでてしまい歪な結果枝になります。

紐を結ぶ箇所は枝の中央付近~先端よりの1カ所で十分です。枝の出方によって場所は前後します。

 

待ち枝(長い予備枝)の誘引

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枝の長さ 60~150cm
待ち枝の誘引角度① 30°
待ち枝の誘引角度② 60~70°
紐を結ぶ箇所 ①枝の根元付近
②枝の中央~先端より

60cm以上の長い予備枝の誘引角度は30°または60~70°にします。

 

①角度30°の場合

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    棚に誘引しやすい
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    摘心し、花芽がついた枝

先端がやや高い位置になるので先端の新梢が伸びやすく中間の芽が短果枝に「やや成りやすい」です。最大のメリットは角度が30°と低いので、翌年に結果枝として棚に誘引しやすくなります。

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摘心しなかった場合

しかしデメリットもあり、角度が30°とやや低いので中間の芽から新梢が伸びやすいこともあり、摘心作業が必須になります。

 

②角度60~70°の場合

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    しっかりと花芽がつく
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    枝が太りやすい

先端がかなり高くなるので勢いよく先端から新梢が出てくれて、中間の芽が短果枝に「高い確率で成りやすい」ため摘心作業をしなくてもよいメリットがあります。

デメリットは枝が太りやすくなり、角度が60~70°と高いので翌年に結果枝に使う時に誘引および稔枝が結構大変になります。※その場合は稔枝をします。やり方は下記に記載しています。

 

他の作物の栽培で夏の摘心作業の時間が取れない場合などは角度は60~70°、逆に梨専業など摘心作業を取れる場合は角度は30°が良いと思います。

紐を結ぶ箇所は枝の根元付近と中央付近~先端よりの2カ所です。

 

梨の誘引の基本

結び方の動画

後日掲載予定

 

梨の稔枝について

太い枝や角度が高すぎる枝を誘引する際の方法です。

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①枝の根元から約10cmのところの背面にノコギリで深さ0.5~1cm(枝の太さによって変える)ほどノコギリで割りを入れる。

②枝をしっかり持ちながら下にゆっくり下げると、割りをいれたところから裂けてくる。

③裂けたところを除去する。

このような順番で綺麗に誘引が可能です。

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その後、削り取った部分にテープを巻いてから棚に誘引しますが、順番はどちらでも良いです。枝が揺れるのが嫌ならば先に誘引するのもありです。

 

稔枝部分にはテープを必ず巻く

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削り取った部分や折れた部分にはしっかりテープを巻きます。テープを巻くことで「胴枯れ菌」が入らなくなり、枝が枯れるのを防いでくれます。胴枯れ菌は雨水によって伝染するので雨水が入る余地を無くすことで防げます。

右の画像は削り取った翌年の冬の枝の状態です。胴枯れが入っていないので、もう一年枝として使えます。

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ニチバン(Nichiban)
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テープはニチバンの白の10m巻きがオススメです。白の方が光を反射するので傷口が癒合し易く、10m巻きだとコンパクトなので枝の隙間にも巻きやすいです。

あと単純にニチバンのテープは粘着力があり剥がれにくいので使いやすいです。

 

稔枝した翌年の枝

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癒合してデコボコになっていますが、この状態でも十分に結果枝として使用できます。

 

胴枯れ菌が入った枝

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上の画像はテープを巻かなかったため、胴枯れが入った枝の様子です。茶色く変色している部分がそうです。枝として使えなく無いのですが、他に良い枝が無い場合のみ仕方なく使う感じです。

 

おすすめの誘引紐と道具

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梨に誘引に使う基本的な道具です。クラニロープ アイアイカッター はとてもオススメしています。

他の誘引道具の紹介は下記の記事で書いています。

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