フィンガーライムにつくダニ類の防除について解説します。
フィンガーライムは寒さに弱いのでハウス栽培をしているのですが、ハウス栽培ではダニ類が繁殖しやすいため、定期的な防除・駆除が必須です。
ダニ類の発生時期や農薬などを記載しています。
注意点
本記事に記載してある農薬は2020年度の防除指針などを参考にしたものです。回数・濃度は確実に守りましょう。記載してある農薬は2020年のもので、変更になる場合があるので使用前は必ずラベルを確認しましょう。また、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。()内は有効成分です。
- 柑橘類に限らず、梨などの果樹に発生する虫。
- 葉の両面に寄生して汁を吸うことで、葉が白っぽくなったり、縮れてしまったりする。
- ハウス内で越冬するため、気温の上昇とともに増殖する。
- 気温が高いほど増殖スピードが加速する。
- ダニは同じ種類の殺ダニ剤(殺虫剤)を使い続けると、耐性がついてしまうので要注意。
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フィンガーライムにつく病害虫 ダニ類とは?
- 柑橘類に限らず、梨などの果樹に発生する虫。
- 葉の両面に寄生して汁を吸うことで、葉が白っぽくなったり、縮れてしまったりする。
- ハウス内で越冬するため、気温の上昇とともに増殖する。
- 気温が高いほど増殖スピードが加速する。
- ダニは同じ種類の殺ダニ剤(殺虫剤)を使い続けると、耐性がついてしまうので要注意。
以上が、ダニの特徴になります。
柑橘類では、ミカンハダニやミカンサビダニ、チャノホコリダニの被害が多いです。被害が広がると葉っぱが落葉してしまうので、葉っぱの小さいフィンガーライムには相当悪影響が出てしまいます。イモムシなどの被害も注意しなければなりませんが、ダニ対策もしっかりしないと最悪の場合は枯れる恐れもあります。
フィンガーライムは寒さに弱いので、ハウス栽培になるケースが多いと思います。そうなると、年中ダニがいることになるので、殺ダニ剤やマシン油、天敵農薬(天敵昆虫)を駆使して被害を最小限にとどめましょう。
フィンガーライムのダニ被害の画像
被害
上の画像のように、葉や枝の色が薄くなってしまいます。ミカンサビダニでは葉の裏が褐色になり、葉の形が変形してしまいます。※チャノホコリダニでは新葉が縮れてしまう。若干、粉っぽくなっており、これはダニがいる(いた跡、死骸)形跡なので、すぐにダニ対策をしましょう。フィンガーライムは一つ一つの葉っぱが小さいので、成長にダイレクトに影響するので対策は必須です。
フィンガーライムにつくダニの種類・発生時期・症状
ミカンハダニ
- 条件:冬の間も休眠せず、気温が8℃以上あると発育するのでハウス内では年中発生する。
- 時期:年間を通して存在するが、3月から増えていき、5月~6月、9~10月頃に大発生する。
- 発生サイクル:成虫になって卵を生む期間は、
・気温20℃では約25日間
・気温25℃では約16日間
・気温30℃までは気温が高いほど短期間になる。 - 症状:被害葉は葉緑素が抜けて白い斑点が生じるので、葉全体が白っぽく見え、被害が大きいと落葉する。果実は着色期前の緑色の時期に加害されると、葉と同様に白っぽくなる。
ミカンサビダニ
- 条件:冬の間は芽の鱗片の隙間で越冬するが、新芽の伸長が始まると葉の上で増殖を始める。
- 時期:6月上中旬頃に葉から果実へ移動、増殖して加害を始めて、8月下旬頃に被害が急増する。11月頃まで果実上で増殖と加害を続ける。
- 発生サイクル:成虫になって卵を生む期間は、
・気温20℃では約16日間
・気温25℃では約10日間
・気温30℃では約7.5日間 - 症状:葉では新葉がゆがんで変形したり、褐色のスジを生じ葉の裏が黒くなり、時には落葉します。果実の被害は果皮が褐変し、コルク状になって硬くなります。
チャノホコリダニ
- 条件:発育限界温度は約7℃なので越冬後、暖かくなったら活動を開始する。
- 時期:増殖する時期は高温期の8月~9月。
- 発生サイクル:成虫になって卵を生む期間は、
・気温20℃では約13~17日間
・気温25℃では約6日間 - 症状:植物の生長点付近に集中し、芯部に寄生すると芯止まり症、果実に寄生するとサメ肌状に、若い葉は葉の裏が光沢を帯び褐変する。
フィンガーライムの殺ダニ剤・農薬の種類と散布時期
ダニごとに効く農薬、効かない農薬があるので注意しましょう。また、ダニは同じ成分の農薬(殺ダニ剤)を続けて使ってしまうと、耐性ができて効かなくなるので種類を変えて使っていきます。
フィンガーライムへの農薬散布は柑橘類を参考にしています。将来的に適用外になる可能性もあるので、購入時のラベルを確認してから用法・用途にのっとって使用しましょう。
ハダニ類
ミカンハダニ
- カネマイトフロアブル(アセキノシル)
- マイトコーネフロアブル(ビフェナゼート)
- スターマイトフロアブル(シエノピラフェン)
- ダニサラバフロアブル(シフルメトフェン)
- スターマイトプラスフロアブル(シエノピラフェン+ピリダベン)
- ダニコングフロアブル(ピフルブミド)
- ダブルフェースフロアブル(ピフルブミド+フェンピロキシメート)
- ダニエモンフロアブル(スピロジクロフェン)
- ダニゲッターフロアブル(スピロメシフェン)
ミカンサビダニ
- アグリメック(アバメクチン)
- コテツフロアブル(クロルフェナピル)
- マッチ乳剤(ルフェヌロン)
- ダニカット乳剤(アミトラズ)
- マイトコーネフロアブル(ビフェナゼート)
- アプロードエースフロアブル(フェンピロキシネート+ブプロフェジン)
- ハチハチフロアブル(トルフェンピラド)
- ダニゲッターフロアブル(スピロメシフェン)
- モベントフロアブル(スピロテトラマト)
- ダブルフェースフロアブル(ピフルブミド+フェンピロキシメート)
- フロンサイドSC(フルアジナム)
- ファインセーブフロアブル(フロメトキン)
チャノホコリダニ
- メビウスフロアブル(アバメクチン+エトキサゾール)
- コテツフロアブル(クロフェナピル)
- カネマイトフロアブル(アセキノシル)
- サンマイト水和剤(ピリダベン)
- アプロードエースフロアブル(フェンピロキシメート+ブプロフェジン)
- ハチハチフロアブル(トルフェンピラド)
- ダニエモンフロアブルスピロジクロフェン)
- ダニゲッターフロアブル(スピロメシフェン)
- スターマイトフロアブル(シエノピラフェン)
- ダブルフェースフロアブル(ピフルブミド+フェンピロキシメート)
- フロンサイドSC(フルアジナム)
フィンガーライムの気門封鎖剤(農薬)について
マシン油乳剤などの気門封鎖剤は、油で窒息死させる液体なので耐性ができないのと、幅広いダニ類に使用できます。油で膜をはって気門(呼吸する穴)を塞ぐので、成虫や卵(濃度や農薬による)にも効果があります。しかし、暑い時間帯(高温時)や散布後に別の農薬をまくと薬害が生じる可能性があるので注意。
マシン油乳剤一覧
引用
マシン油乳剤(95%)
※殺卵効果あり(濃度による)
トモノールS
ハーベストオイル
ラビサンスプレー
フィンガーライムの天敵農薬(生物農薬)について
天敵農薬は即効性は無いため、ハダニ類が増殖する前から設置して、先に数を増やしておくと後々の被害が減ります。また、天敵農薬はハウス・温室内で高い効果を発揮します。露地では飛んでってしまい、高い効果は望めないので注意しましょう。
なので、天敵農薬以外の種類の農薬を組み合わせながらダニ類を駆除していきます。あと、天敵農薬の種類によりますが、オオバコやギシギシが土着天敵を育みますので、ハウス内で育てて見るのも良いかと。
散布(設置)時期
- 2月上旬~中旬(ハウス内加温が条件)
- 4月上旬~中旬(追加設置)
私は無加温のハウス栽培をしているため、気温が上昇して開花が始まる3月中下旬頃に設置する予定です。ミヤコカブリダニは花粉も餌とするので、その頃なら増殖を期待できると思うからです。
天敵農薬の一覧
引用
スワルスキーカブリダニ剤
ミヤコカブリダニ剤
チリカブリダニ剤
フィンガーライムの病害虫のダニ対策|まとめ
- 柑橘類に限らず、梨などの果樹に発生する虫。
- 葉の両面に寄生して汁を吸うことで、葉が白っぽくなったり、縮れてしまったりする。
- ハウス内で越冬するため、気温の上昇とともに増殖する。
- 気温が高いほど増殖スピードが加速する。
- ダニは同じ種類の殺ダニ剤(殺虫剤)を使い続けると、耐性がついてしまうので要注意。
参考文献
参考
\ 天敵農薬はこちら!/
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