農業･園芸用光反射シートの種類･性能･使い方･機能を解説【まとめ】

光反射シートをマルチすることで、桃やブドウの着色促進や、シャインマスカットの糖度のUP、コナジラミなどの害虫対策が可能です。

農業･園芸用光反射シートには複数種類があり、シルバーや白･透水･通水性のものや透湿･防水性のものがあります。

それぞれの種類の使い方や性質などを具体的に解説します。

 

 

農業･園芸用光反射シートの色別の特徴【白･シルバーの違い】

 

リンゴ秋田紅あかりは、白のシートの敷設により、着色が促進した。

一方、従来使用されてきたシルバーシートの敷設では十分な着色促進効果が得られなかった。

引用

リンゴ秋田紅あかり着色促進に及ぼす反射資材の効果

 

上記の文献ではシルバーシートでは着色効果が白色に比べて劣っていると結論が出ていました。

もちろん使う資材によって異なると思いますが、着色や生育促進には白色で、コストを抑えて害虫の忌避効果を求めるならシルバーが最も効果があります。

下の表は、主な違いを解説したものです。

 

 

白色シートの特徴

 

 

 

シルバー（アルミ）シートの特徴

 

 

農業･園芸用光反射シートの通水性別の特徴【透水･通水･透湿･防水の違い】

光反射シートには色の違いに加えて、水を通す･通さない、少し通すなどの数種類のタイプのシートがあります。

 

 

それぞれに特徴があるので、それについて解説します。

 

通水性シートの特徴

 

等間隔にハトメ穴が空いている水を通すタイプの反射シートですが、穴から雑草が出てしまいます。

 

 

 

透水性シートの特徴

 

シートの全面にとても小さな穴があるので水を通しやすくしていますが、穴は極小なので雑草生えません。

400WPの400はシートの厚さで、WPはWater Permeability（透水）の略です。

 

 

 

透湿性シートの特徴

 

通気性と透湿性があるため土壌を適湿に保ちますが、水を通さないので雑草は生えません。

700AGと1000AGがあり、数字はシートの厚さのことです。

 

 

 

防水性シートの特徴

 

水を完全に通さない防水シートなので、雑草は生えませんが潅水は必須になります。

 

 

 

農業･園芸用光反射シートの具体的な使い方と役割

 

光反射シートは地面に設置することで光を乱反射させます。

それにより、果樹や野菜などに良い影響があります。

 

果物の着色を良くして糖度を高める

 

太陽光は葉の表面にしか基本当たりません。

葉の表面には柵状組織、葉の裏側には海綿状組織があり、葉緑体（光合成をして養分をつくるところ）がそれぞれに存在します。

柵状組織に比べて葉の裏側の海綿状組織は葉緑体が少ないのですが、そこに光射シートで反射した光を当てることで葉緑体が養分を生成して、

その養分が糖をつくりアントシアニンなどを生成して着色が促進されます。

簡単に言うと【甘いと色が濃くなる＝色が濃いと甘い】なので、【着色促進＝糖度UP】に繋がります。

 

 

 

ハウス内の光不足対策

 

ハウス内ではどうしても光が当たらないところが出てきます。

ビニールで覆っているので光の透過率がどうしても下がってしまいます。

そこで地面に反射シートを設置することで乱反射させて、光不足を防ぐことができ植物の成長を促せます。

植物の生長を促進させることで結果として収穫量のUPに繋がります。

 

１．光反射シートを開花前に棚下へ敷設すると棚面に対して角度の大きい葉の割合が
増加するため棚下に光が透過しやすくなり、棚下 20cm から 40cm の果房周辺の積算日射量が増加する（表１、図１）。

２．光反射シートを敷設し着房数を慣行より３割程度多く設定した時の
10a 当たり収量は30％以上増収する（表２）。

３．光反射シートを敷設し着房数を慣行より３割程度多く設定した時の果実品質は
糖度と果皮色が慣行よりも高くなる。その他の品質に差はない（表３）。

引用

光反射シート利用によるブドウ「シャインマスカット」増収技術の開発

 

アザミウマやコナジラミなどの害虫対策

 

光を反射させることでアザミウマやコナジラミの発生･飛来を防ぐことができます。

特にブドウやミカンでは果実が茶色くかすれてしまう【スリップスや、かすり症】を防げます。

 

 

本試験の結果、光反射シートマルチはウンシュウミカンのチャノキイロアザミウマに対して

商品性に影響する被害が認められない程度の防除効果があることが明らかになった

引用

光反射シートマルチによるウンシュウミカンのチャノキイロアザミウマ防除

５．以上の結果から、マルチにより第 1 世代成虫飛来時期の防除を削減できると考えられた。

マルチを行っても一部のブドウ新梢で第 2 世代成虫の寄生個体が認められたことから、第 2 世代成虫飛来時期の防除は必要と考えられた。

引用

ブドウ‘シャインマスカット’におけるチャノキイロアザミウマの発生消長と光反射シートマルチを利用した減農薬防除の検討

 

 

育苗中の水稲の日焼け対策

 

当園では水稲も栽培していて、育苗中に反射シートを苗に被せます。

育苗中は強い光が当たると苗が焼けてしまうのでそれを防ぐためです。

 

おすすめの農業･園芸用光反射シート

 

コナジラミやアザミウマなどの害虫対策にハウス内やハウス周りに設置するのにもオススメです。

 

萩原 スノーテックス1100 1.5x50m SNW-1550

 

 

萩原 スノーテックス1100 1.8x50m SNW1100

 

 

 

農業･園芸用光反射シート｜まとめ･参考資料

 

 

参考資料