育苗1年目の5月に発芽したフィンガーライムを気温の低下が始まる9月下旬にハウス内に移動した話と、育苗2年目の苗の越冬方法について解説します。
- 9月下旬にはハウス内で育苗する。
- ビニールハウスや加温ヒーターなどで室温は最低気温5℃を下回らないようにする。
- 過湿になると病害虫が発生しやすくなるので日中に換気や、農薬散布をする。
- 落葉するが翌年の春に新梢が出てくれるので、落葉は過度に心配しすぎない(最低気温は0℃を切らないようにする)
\ 苗を枯らせないために!/
フィンガーライムの苗に越冬・寒さ対策をする理由
- 最低気温:気温は10℃を切ることが少ない。
- 湿度:空気が乾燥している。
- 降雨量:日本と比べると少ない
- 寒暖差が10℃近くもある。
- 最低気温:日によって気温は0℃を下回ることも。
- 湿度:冬は乾燥気味だが、秋の長雨などで湿度が高くなる場合がある。
- 降雨量:比較的多い。
- 寒暖差が10℃近くもある。
フィンガーライムは常緑果樹ですが、オーストラリアなら問題が無くても日本での冬の時期はどうしても落葉します。
常緑果樹なので基本的に落葉はしないほうが良いのですが大苗の時は多少落葉しても、その後は新梢が出るのであまり問題はありません。
ただし、育苗中の苗は10cmほどの丈しか無いので落葉してしまうと光合成ができなくなり、枯れやすくなってしまうので基本的には最低温度が5℃位を切らないように管理します。
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外気温の推移
9月下旬に向かうにつれて最低気温が20℃を切る日が出てきています。10月の20日頃には最低気温が10℃近くに下がってきています。
ハウス内の気温の推移
こちらは無加温ハウス内の室温です。9月中旬ごろまでは、最高気温がまだ30℃に達する日がありますが順調に室温が下がってきています。
ただ露地栽培よりも室温が高いので、少しでも気温の高いところで光合成をさせてやり、苗の成長を促したいところです。
10月中旬ごろになると最高、最低気温が15℃前後になってくるので、そろそろ側窓の締め切りを検討しています。
ハウス内の湿度の推移
ハウス内の湿度にも注意です。9月中旬ごろまでは気温がまだ高いため側窓を開けて湿度を減らしていますが、気温が低下するにつれて側窓は閉じていきます。
それに併せて湿度が高くなるので病気の発生には注意しましょう。
10月に入り気温が低下してきたので側窓を8割ほど締めたので湿度が上がりました。
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フィンガーライムの苗の越冬方法
枯らさないための越冬方法の基本は保温をすることです。ビニールハウスの中で育てたり、加温をすることで常緑果樹の落葉を防ぐことができます。
ビニールハウス
寒さ避けのためにビニールハウス内で栽培します。小型のビニールハウスから大型のハウスまで、簡単に組み立てられるハウスがネットで購入できます。
また可能であれば二重被覆(ハウスをさらにビニールで覆う)をして、さらに保温できるようにします。
加温ヒーター
朝晩の氷点下になる時間帯にスイッチをオンにすることで凍結を防げます。ビニールハウス+ヒーターでより効果が高まります。
ちなみに下の画像は無加温で栽培したときのフィンガーライムの苗の様子です。やはり寒さで何本か枯れてしまっています。
本数が多かったので無加温で栽培しましたが、絶対に枯らせたくない場合は加温は必ずしたほうが良いです。
加温育苗ハウス
加温マット+小型育苗ハウスがセットになった道具です。これ1台で発芽から冬期の育苗が可能です。
温度計
ハウス内に設置している温度計です。ヒーターや電熱マットで温度調節するときに使用しています。
ネタトモは外気温や湿度、二酸化炭素量、雨量・風速(オプション)を計測できる優れものです。
フィンガーライムの土とpH
フィンガーライムは柑橘類のため弱酸性の土壌が適しているのでpH6.5くらいを目安に土作りをします。肥料の硫酸アンモニウムや硫酸カリウムを散布することで土壌が酸性に傾きます。
酸性に土が傾きすぎたら苦土カル(苦土石灰)や苦土セルカ(カキ殻を主原料とした有機質石灰)を散布します。苦土セルカの方がマイルドに土に浸透するので、他の肥料と一緒に撒く場合は苦土セルカを使います。(pH調整のみならば苦土カルを単肥として散布)
上の土壌酸度計は土に差し込むだけで簡単にpHを計測できるのでオススメです。
市販の培養土にも柑橘類の土が販売していますので、これで十分育ちます。排水を良くしたい場合は鹿沼土や赤土の中粒をまぜましょう。
フィンガーライムの苗のハウス潅水設備
潅水設備
共通の潅水設備は以下のものを使用しています。
凍結防止栓
凍結防止栓は一定の温度以下になると「水抜き」をしてくれる機能があるので水道管の凍結破損を防いでくれます。
自動潅水機
潅水設定
- 頻度:2~3日ごと
- 1日の潅水回数:1回
- 1回の潅水時間:3~5分
- 時間帯:9:00~10:00
- 早朝は水道管の凍結が心配なので少し遅い時間帯にしています。
育苗1年目の潅水設備
ハウス内ではドリップ式の散水パーツを使います。
下のが潅水に使用した道具の一覧です。
育苗トレー
潅水パーツセット
育苗トレーに設置したドリップ潅水の動画
ドリップ潅水パーツセット
上のパーツとチューブをつなぎ合わせて使っています。動画では水の水圧が低いためポタポタ垂れるドリップ潅水になっていますが、本来なら下の画像のようになるようです。
かなり分岐させているため水圧に勢いが無いためドリップになっていますが、冬は露地の潅水を止めるので、水圧が上がるので上のようになります。
育苗2年目の潅水設備
育苗2年目になると根っこも十分成長しているので底面給水が可能になります。水を溜めておけるので、潅水回数も減らせて管理が楽になります。ただし、水をあげすぎると根腐れが起きるので注意。
下のが潅水に使用した道具の一覧です。
底面給水トレー
潅水パーツセット
底面給水用ポット
ハウスでのフィンガーライムの苗の育て方の注意点
ハウス内では室温を確保できる代わりに過湿気味になります。
自動潅水で水量や時間帯である程度コントロールできますが、窓をほぼ締め切りにするのでどうしても過湿になります。
送風設備があれば問題無いですが、無い場合は病害虫に注意しましょう。
フィンガーライムの病害虫防除について
室温を保つためにハウス内を締め切るので過湿気味になります。
そうなると疫病やダニ発生しやすくなるので対策として
- ICボルド-66D
- サンマイト水和剤
- コテツフロアブル
などを散布します。
疫病対策にはカルシウム剤(ICボルドーに石灰が含まれている)を散布すると効果があるそうです。
フィンガーライムの苗の育て方と越冬方法|まとめ
- 9月下旬にはハウス内で育苗する。
- ビニールハウスや加温ヒーターなどで室温は最低気温5℃を下回らないようにする。
- 過湿になると病害虫が発生しやすくなるので日中に換気や、農薬散布をする。
- 落葉するが翌年の春に新梢が出てくれるので、落葉は過度に心配しすぎない(最低気温は0℃を切らないようにする)
\ 苗を枯らせないために!/
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