気温が上がってきて、そろそろブドウの萌芽(ほうが)がはじまります。
萌芽前のタイミングで病害虫防除のために石灰硫黄合剤を散布しますが、その時の注意点を解説します。
- 希釈後は付着しにくいので展着剤を加用する。
- 萌芽(発芽)後の散布だと薬害が生じるので萌芽直前に散布する。
- 早朝や曇りの日など、日射しが弱いときに散布する。
- 越冬病害虫に高い殺菌・殺虫効果がある。
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石灰硫黄合剤の特徴・対象病害虫・使用方法
特徴
- 殺菌・殺虫の両方の効果があり、果樹の広範囲な病害虫防除に適している。
- 果樹の越冬病害虫にも殺菌・殺虫の効果がある。
- 有機JASに適合する農薬。
対象病害虫と使用方法
作物名 | 適用病害虫名 | 希釈倍数 (倍) |
使用時期 | 使用方法 | 本剤の 使用回数 |
石灰硫黄合剤 を含む農薬の 総使用回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
果樹類 | ハダニ類 サビダニ類 |
20~40 | 冬期 | 散布 | - | - |
落葉果樹 | カイガラムシ類 ハダニ類 越冬病害虫 |
7~10 | 発芽前 | |||
りんご | 腐らん病 | 10 | 休眠期 | |||
なし | 黒星病 | 7 | 発芽前 | |||
もも | 縮葉病 胴枯病 黒星病 |
7 | 発芽前 | |||
うめ | 縮葉病 | 8 | 発芽前 | |||
くり | 芽枯病 | 20~40 | 発芽前 | |||
みかん | カイガラムシ類 ハダニ類 |
20~40 | 冬季 |
引用
使用上の注意点
- 希釈後は付着しにくいので展着剤を加用する。
- 強アルカリ性なので、ボルドー液やマシン油乳剤などの混用は禁止。
- 日が強く高い気温の時(日中など)は、薬害を起こしやすいので、早朝か夕方に散布する。
- 落葉果樹では発芽(萌芽)後の散布は薬害が起きやすいので注意する。
- 強アルカリ性なので皮膚や目などの付着に十分注意する。
- 酸性物質との混用は絶対禁止。
ブドウの石灰硫黄合剤の散布時期・注意点・展着剤
散布時期
暖かくなり、萌芽の直前に散布すると殺菌・殺虫効果が高いです。気温が高くなると菌や虫が動き出すので、そこを狙って石灰硫黄合剤を散布するとより効果が高まります。
つまり萌芽直前に散布します。
時期は栽培地域や環境・品種によって異なりますが、ここ神奈川県の露地栽培では3月中下旬頃になります。
ココがポイント
- 萌芽直前に散布すると効果が高い
- 神奈川の露地栽培では3月中下旬頃が目安
注意点
上の画像は萌芽が始まっているブドウの枝です。育種ブドウを栽培しているのですが、この品種だけ萌芽が他より早いため、どうしても薬害が起きてしまいます。
藤稔などの品種に合わせて石灰硫黄合剤を散布するため、萌芽が早い品種にどうしても農薬がかかってしまうので、薬害が起きます。
具体的な薬害は、芽や葉が黒く焼けてしまい(強アルカリ性なので)、芽が枯れてしまいます。枯れないですんだ場合も、葉っぱがくすんだ色になり生育が悪くなったりします。
当然ですが、芽が枯れるとブドウができなくなるので(最悪は結果母枝が枯れる)、収穫量が激減します。なので、萌芽していない状態の時に石灰硫黄合剤を散布しましょう。
また、散布するときは早朝や曇りなど日射しが弱いときに行います。日射しが強いと、やはり薬害が起きやすいので注意しましょう。
展着剤
石灰硫黄合剤は越冬しようとする病害虫を退治するための農薬です。
ただし石灰硫黄合剤だけでは休眠期の枝には浸透しないため、浸透する機能をもった展着剤「ラビデン3s」を添加すると効き目が上がります。
展着剤にも種類があり、
・表面に固着するもの・表面に広がるもの・内部に浸透するもの
の3種類があります。
ラビデン3sは内部に浸透し易くするため、虫や菌に届いてくれます。
ブドウの石灰硫黄合剤の散布時期と注意点を解説|まとめ
- 希釈後は付着しにくいので展着剤を加用する。
- 萌芽(発芽)後の散布だと薬害が生じるので萌芽直前に散布する。
- 早朝や曇りの日など、日射しが弱いときに散布する。
- 越冬病害虫に高い殺菌・殺虫効果がある。
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